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クラス:アサシン 属性:混沌・中庸 真名:鎌鼬 出典:伝承 地域:日本 性別:男 身長・体重:174㎝・59㎏ ステータス:筋力C耐久D敏捷A魔力C幸運B宝具C クラス別スキル 気配遮断(A+) サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 保有スキル 単独行動(A) マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 心眼〔偽〕(B) 視覚妨害による補正への耐性。 第六感、虫の報せとも言われる、天性の才能による危険予知である。 仕切り直し(A) 戦闘から離脱する能力。 医術(B) 軟膏を用いた傷の治癒。 骨に達していない外傷であるならば完全に治癒することが可能。 宝具:『悪禅風鎌』 ランク:C 種別:対人 レンジ:1~10 最大補足:5人 認識不可能な風の鎌。 痛みなく斬り付け、いつの間にか出血させる。 斬り付けられた者が気付くのは、斬り付けられた部位を視覚するときである。 名前
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―――凛が自分のサーヴァントを失った後、 士郎とペレロフォンは彼女と同盟を結び、夜の街を歩いていた。 だが、そんな彼らに不審な影が姿を表す。 そのサーヴァントはまるで西部開拓時代のカウボーイのような姿をしていた。 「アンタ……。サーヴァント!?」 その凛の言葉に、その謎のサーヴァントは深々と頭を下げる。 「お初にお目にかかります……。 俺の真名は、ペコス・ビル クラスはライダー。宝具は『駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)』 炎や水、光などの形のない物に形を与え乗りこなす能力だ。 そう把握していただきたい。」 「「「な―――っ!!?」」」 その言葉に三人は絶句する。 自ら己の真名のみならず、宝具の能力まで親切に教えるサーヴァントなどいるはずがない。 「士郎!騙されないで! そいつのいう事は嘘よ!自分の能力を親切に話すサーヴァントがいるはずがない! それにライダーのクラスが二人もいるはずないわ!」 「宝具にも真名にも俺には嘘はない。 ライダーが二人いるのは、聖杯の手違いなのだろう。 ……公正なる『一騎討ち』は己の内にある 『開拓精神(フロンティア・スピリット)』を向上させる。 困難に打ち勝ってこそ、開拓精神は目覚めるのだ。」 「己の弱さを乗り越え、困難を乗り越え、開拓者精神は光り輝く。 その「黄金の精神」こそ俺はもっと素晴らしいと考えている……。 それゆえ、君たちに全てを隠さずに話している。 これが『開拓精神(フロンティア・スピリット)』……。 今の時代、価値観が「甘ったるい方向」へと進んでいるようだがな……。 決めるのは君たちだ……。」 「本気で言っているの?こいつ……どうかしてるわ。」 そのあきれ果てたような凛の言葉に対し、ペレロフォンは爆笑する。 「は、はははは!! いいじゃないか。ここまで骨太で堂々とした奴が近代の英霊にもいたとはな! 我が名前はペレロフォン。その一騎討ち、受けて立とう!!」 「……感謝いたします。」 ペレロフォンが所有しているのは、第四次聖杯戦争の際、 セイバーが操っていたV-MAXだ。 士郎と同盟を結んだ凛が、ペレロフォンを強化するために、コネを使って入手したものである。 ペレロフォンと士郎は、そのV-MAXにまたがってエンジンを吹かす。 一方、ペコスは、何かを待つようにじっとその場に立ちすくしていた。 しばらくのにらみ合いのあと、一陣の逆風がペコスの背中からペレロフォンへと向かってひゅうと吹き抜ける。 その瞬間、ペコスは叫んだ。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 その瞬間、ペコスは己の宝具を開放し、吹き抜けた風へと跨った。 「待ってろ……!今、お前に魂を吹き込んでやる……!! 《黄金の手綱(ポリュエイドス)》!」 ペレロフォンの黄金の手綱によって、彼が乗っているV-MAXに魂が吹き込まれ、 擬似的な幻想種へと変貌する。 瞬間、凄まじい轟音を立てながら、弾丸のようにV-MAXは地面を疾走する。 人間では扱う事が難しいそのモンスターマシンは、ペレロフォンの力によって文字通りの怪物へと変化したのだ。 弾丸のように疾走するペレロフォンのV-MAXと真正面から向かい合って進むペコスの疾風。 それはまさしく古代の騎馬戦を連想させた。 恐らく、ペコスはすれ違い様に、こちらの急所に弾丸を打ち込んでくるつもりなのだろう。 「確かの通常の機械では風といった概念までは破壊できない……。 だが、魔獣化したこのV-MAXならば別だ!!」 魔獣としての属性を与えられたV-MAXは、まるで貪り食らうように、 ペコスの乗った疾風を打ち砕く。 運良く、すれ違いざまの士郎の振るった双剣はペコスはかすり傷ですんだが、 乗り物である疾風を失ったペコスは、そのまま空中へと放り出される―――。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 だが、ペコスは己の宝具を使用すると、 V-MAXが発生させた衝撃波へと乗り、ペレロフォンに向かって銃弾で攻撃を仕掛ける。 「ハッ!なかなか面白いマネしやがって!!」 だが、ペレロフォンは、見事なハンドル裁きで、銃弾を全て回避する。 そして、ペコスは再装填を行うと、銃弾を明後日の方へと撃つ。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 ペコスは、その『弾丸が発生させた疾風』に乗ったのだ。 さらに、明後日の方に弾丸を放つとそれを踏み台にして空中の三次元起動を行いながら、 空中から地上のこちらへと弾丸を降り注ぐ。 それを回避しながら、ペレロフォンは不敵に微笑む。 「なかなか楽しめたぜ……。だが、それもここまでだ!! 《屠獣熔鉛(カウンター・キマイラ)》!!」 その瞬間、意思を持つ流体金属である屠獣熔鉛(カウンター・キマイラ)が展開し、 三次元移動を行なっていたペコスを包み込んで動きを封じる。 「今だ!やれ士郎!!」 その瞬間、士郎は干将を投げると、その剣は、流体に封じられたペコスの胸へと突き刺さる。 「グ……ふっ……!!」 口と傷口から大量の血液を吐き出すペコス。 だが、それでも彼は震える手で、こちらに向かって銃を構える。 それが無駄だとわかっていても、だ。 「やめるんだ、ペコス!もう十分だろう!?」 「だから価値観が甘ったれているというんだ! 精神(ココロ)を見ろ……。光り輝く黄金の精神を!! 『社会的な価値観』がある。そして『開拓精神』がある。 昔は一致していたがその『2つ』は現代では必ずしも一致していない。 『開拓』と『社会』はかなりずれた価値観になっている。」 「だが『真の勝利への道』には『黄金の精神』が必要だ。 聖杯戦争を勝ち進み、それを確認しろ……。」 その瞬間、引き金を引こうとしたペコスの胸に、士郎の莫耶が突き刺さる。 血を吹き出しながら、満足げにペコスは微笑む。 「ようこそ……。『フロンティア』へ……。」
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クラス:アサシン 属性:中立・善 真名:青坊主 出典:民間伝承、画図百鬼夜行 地域:日本 性別:男 身長・体重:176㎝・80㎏ ステ―タス:筋力C耐久D敏捷B魔力C幸運B宝具C クラス別スキル 気配遮断(C) サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 保有スキル 神性(D) 神霊適性を持つかどうか。 山の神という説から低ランクで保持している。 怪力(C) 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 変化(C) 人影の様なもの、子供、大きな僧に変化する。 便所の腕(A) 召喚された街の教育現場にあるトイレから手を生やす。 見た者に精神ダメージを与えることでトイレを使用不可能にする。 宝具:『首吊り坊主』 ランク:C 種別:対人 レンジ:1~2 最大補足:1人 「首を吊らんか」と誘いかけ無視した者の首を吊る。 拒絶した場合、宝具は発動しない。 無視した場合にはその者は気絶し、アサシンが近くの樹に吊る。 名前
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アヴェンジャー アンチキリスト 崇徳上皇 【ネタ鯖】 カサンドラ サーヴァント 豊臣秀吉 ファニーヴァンプ マリー・アントワネット シールダー ウィーグラフ ジェミニ ※例外的に二名同時に座に登録された英霊が該当。共同で活躍した逸話と、二人一組での呼称を保有。 【ネタ鯖】 ディオスクロイ
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Fate/Another Servant HeavensFeel 2 予告編 ※もしかするともしかしたらデモムービーっぽくBGM(エミヤなど)が流れるかもしれません。音量と幻聴にご注意ください。 ───今より半世紀も昔、ある奇跡の儀式が執り行われた。 アインツベルン、マキリ、遠坂。この三つの魔術師の家系が協力し、お互いの秘術を提供し合って作り上げた大儀式。 その儀式の名を『聖杯戦争』 膨大な力を持つ英霊の性質を利用したこの大儀式は、成功した暁には聖杯を追い求めた彼らを根源の渦へと導いてくれる筈だった。 そう、筈だったのだ───。 ────1度目の戦いから時を経て、此度また2度目の悲願の時が訪れる────! 「前回の失敗の教訓を生かし聖杯戦争に表向きのルールを付け加える……」 深夜、遠坂邸の地下工房で落ち着いた声が一つ、誰に訊かせる訳でもなく呟きを漏らしていた。 「勝者はただ一人のみ。その他の敵対する六組は全て排除してしまえば良いのですね、はい判っています。全てはアインツベルンの悲願成就の為に」 同じくしてアインツベルン本城にて、雪の様に白い美貌の女が頭首ユーブスタクハイトに出立の挨拶をしていた。 「呵々々。まあつもるところ早い話が実力勝負、と言うことだ。今度こそは───そう今度こそは我がマキリの宿願を果たす時よ!」 同様にその頃、マキリの地下修練場でも大妖術師が己の弟子に説明をしているところだった。 前回の聖杯降霊儀式は無残な失敗に終わった。 ユスティーツァ・アインツベルン、マキリ臓碩、遠坂永人父娘たちが協力して作り上げた聖杯降霊のシステムは見事に完成し、七体の英霊を召喚することにも成功した。 しかし、その後彼らを待ち受けていたものは聖杯の正当な所有権を巡っての対立であった。 聖杯を追い求める同胞から聖杯の入手を邪魔する怨敵へと切り替わった彼らは己以外の所有者など断じて認めぬと殺し合いを始めた。 だが彼らの戦いは一向に決着を向かえず、ついには聖杯降霊の限界期限を過ぎてしまい聖杯探求者たちの一度目の悲願は泡のように消え失せたのだった。 そこで御三家はこの失敗を活かし冬木の聖杯戦争に新しくあるルールを組み込むことにした。 七騎のサーヴァントと七人の魔術師による血で血を洗う悲願と生き残りを賭けた殺し合い。 それが冬木で執り行われる聖杯戦争───! 七騎七魔の生贄たちよ、 ───聖杯の奇跡は唯一人の為に─── 己が血以外の血でその杯を満たすがいい、 ───汝、奇跡を欲するなら─── さすればその悲願は汝が手の内に顕れる。 ───その身を以って最強を証明せよ─────! Fate/Another Servant HeavensFeel 2 これは、皆鯖を愛する者たちへ贈る物語 この闘争に召喚されるのは純正の英霊七人。 ローラン ベーオウルフ ラメセス二世 本多忠勝 アン・ズオン ヘイドレク クリスチャン・ローゼンクロイツ この七組それぞれの視点から描かれる第二次聖杯戦争の顛末! ──────Casters Side────── 「───────」 ソフィアリは呆然とした心持ちで目の前の状況を受け止めていた。 彼はキャスターを召喚し、この地の地脈をキャスターに調べさせてから共に工房の設置場所へ向かった。 しかし、その郊外の丘の上の工房建設地には民家どころか人が住めそうな場所すらなかったのだ。 貴族であるソフィアリ家の者が野宿なぞ出来るか!とキャスターに工房作成を命令すると、彼は丘を下りて民家の住人に暗示をかけるとそのまま眠りについた。 そして翌朝。 目を覚ますと、動けはするものの自身の体の変調を理解した彼がその日を休息に充てたのが昨日の出来事。 丸一日しっかり休息に使い魔力と体の調子を整えて、寄生した民家の食事を不味い不味いと思いながらもしっかり平らげて丘へ向かった。 ───で。キャスターに工房製作を命じてから丸二日も経過してないのにコレだった。 「い────家……?」 ソフィアリの目の前にはどう見ても前見た時には存在しなかった物がある。 これ、どうみても家、だよな……? その時、ガチャリというドアを開ける音と共にキャスターが姿を現した。 「やはりマスターでしたか。此処にはボクを知る者じゃないと来れない様な結界を張っていましたからそうだろうとは思ってましたが」 「キャ、キャスターよ………コレは、なんだ?」 一瞬キャスターは首を傾げたがマスターの目線で言わんとしてる事を理解すると笑いながら”コレ”を説明した。 「ああ、コレはですね?『聖霊の家』ですよ。ボクの工房です。とは言ってもまだ半分程度ですので流石に完成には及びませんが寝泊りする分には十分の筈ですよ?」 ───化け物か、こいつは───? 魔術師が時間をかけて作り上げていく魔術要塞をこんな短期間で作ったと言うのか? しかもまだ半分しか完成してないと? キャスターに招かれて建物の中に入る。 ───やはり家だ。掘っ立て小屋なんかではない正真正銘の家。 「マスターには此処を拠点にしてもらいますけどよろしいですね?」 「あ、ああ……。大きいし別に構わんが………」 それは良かった。と安心するとキャスターは奥の部屋へ入って行く。 キャスターの後に着いてソフィアリも奥の部屋へ入る。 「ところでマスター。ボクの占星術によるとどうも今夜辺りに開幕になりそうな気配があります。ボクは今夜町へ出ようと思いますがマスターはどうします?」 「───な!!?それは本当かキャスター?」 あまりのキャスターのレベルの高さに呆っとしていた頭が、開幕という言葉で覚醒する。 「はい。占星術は得意な魔術なんで仮に開幕とまでは行かなくとも恐らく何らかの動きがある可能性は非常に高いです」 キャスターはそう言いながらゴソゴソと何かを取り出し始めた。 「……わかった。ならば今夜私も出ようじゃないか。───ん?キャスターなんだそれは?」 「ふふ、質問が多いマスターですね。これはゴーレムですよと言っても当然ただの人形では無く、魔術礼装と呼べる類の品ですが」 そう言うとキャスターは自分の宝具である魔道書を取り出しページを開くと、 「さあ、起きなさい、我が七体の───」 その力以って、七体の人形を目覚めさせた──────。 「うっ!?キャスター……これは」 小人みたいな七体の人形がゆっくりと動き出す。 「これはボクの武器の一つです。やはり真っ向からの戦闘は圧倒的に不利なので数で勝負します。さあ行きますよ銀、紅、金、蒼、翠───」 色がこの人形達の名前なのかキャスターは七体人形全てに声をかけていく。 「ボクの八人の弟子たちを意識して作ったのものですが奇しくも七騎のサーヴァントと同じ数になりましたね。 一応人形はもう一体あるのですけど、ボクが同時に人形の操作をするのは七体が限界数でした。 スキルにより思考中枢を四つに分割し、一つの思考で二体の人形を操作・運営に充て、人形一体分の容量を予備に空けているんですよ」 この魔術師はそんなことまで出来るのか……。 「あはは。これでも、正統派な魔術師の英霊ですから」 目の前の魔術師の英霊は眼鏡を上げならがくすりと笑うと、七体の子供たちを引き連れ開幕の鐘を聞くために夜の町へ向かった。 ──────Berserkers Side──── 目覚めの呼びかけは騒々しかった。 『さあこの呼び掛けに応え此処に来い!最強の英霊よ!勝利の暁にはどんな願いも叶う聖杯だってある!さあこの声に応えろ!』 ───また戦いが俺を呼んでいる。 そうか、また戦える機会がやってきたのか。ああ、何度でも戦おう、斬ろう、殺そう。 血だ。血が足りない。栄光が足りない、勝利が足りない、いくら戦っても戦っても戦ってもまだ足りない! 守護者となってからいくつもの戦場で敵を滅ぼし尽くしたと言うのに、まだまだ全然これっぽっちも足りていない──! ───この程度の勝利と栄光では『俺たち』はまだ輝けないのだ───!! 『――されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――』 ───────────。 本気かこやつは?狂戦士を求める気なのか? 貴様はこの……呪われた、哀れで愚かな狂戦士の力を求めると言うか───!!? ─────。 俺が召喚に応じる対価にはどんな願いでも叶える聖杯……と確かに言ったな? いいだろう、ならば我が願い叶えてもらうぞ! 俺が勝利した暁には永劫不滅の光を報酬として貰う! 我等が呪われた哀れで愚かしい狂戦士たちに証をくれっ!! たとえ血塗れた我等でも光輝くに値する存在なのだと言う証明を寄越せ─────!!! 『汝が名はなんだ!?汝が宝具はなんだ!?汝が願いはなんだ!?さあその願いの為にもこの声に応えよ狂戦士よ!』 我が真名は、狂王のヘイドレクーーーーーーーーー!! 我が宝具は、勝利と殺戮の魔剣ティルフィングーーーーーーーーー!!! 我が願いは、全ての狂戦士の栄光の証明をーーーーーーーーーー!!!! 『抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!破壊の戦士よ───!』 あぁお、お、おお!あ、があああぁぁあああああああぁあああああぁあああ!!! ■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! ──────Archers Side────── ─────アーチャーを召喚して二日。つまり雨生がバーサーカーを召喚する前日。 闇夜の町を一人歩く。 アーチャーは霊体化させたままの状態で傍に付かせている。 民家は皆が皆とうに寝静まり、辺りを照らす光は綺麗な月明かりだけだった。 間桐はアーチャーを召喚してからきっかり丸一日はまともに動けなかった。 そんな彼の無様さを笑いながら、臓碩はどうもサーヴァントが既に三体が召喚されているらしいとの話をした。 臓碩の情報がどこまで信用できるかは判らないが、あれでも前回の戦いを直接見てきた妖怪爺だ。 全くの見当外れと言うことも無い筈だ。となるともう聖杯戦争の開幕は間近に迫っていると判断した。 ならば今日のうちに少しでも情報を集めておかなければならない。昨日出遅れた分を取り戻さなければ。 「おいマスター」 「なんだアーチャー」 「まだ七人集まっておらぬのだろう?だったら───」 アーチャーの問いを最後まで言わさずに、間桐は苛立たしげにアーチャーに向けていた視線を元に戻して黙殺した。 「何をイラついとるんじゃ?なんじゃい貴様、もしかして召喚早々に気絶したことを気にしておるか?」 「───っ!!なんだよお前、気絶したことがそんなに滑稽か!!?」 間桐の怒鳴り声が夜の町に木霊する。 「おら夜中なんだから静かにしろ。もし敵がいたら今のは下手すると命取りだぞ?」 アーチャーの態度に怒りでギリっと歯が鳴る。 「いいから落ち着け。そもそもワシは貴様が気絶したことなぞどうとも思っておらんわ。あんなのどのマスターでも普通になる事だ。 ……まったくマスターにも困ったもんだ。妙なところでプライドが高いと言うかのう」 「ふん!糞爺は嘲笑ってやがっただろうが!」 「あの腐れ爺は無視しておけ。ありゃ性根どころか精神が腐ってやがるわい。知識はあるようだがあの陰湿な性格はワシャは好かん」 ケッ!っと吐き棄てるアーチャー。 「ふん。大体俺はお前のその言葉遣いも気に入らないんだ。なんだそのどこぞの糞爺っぽい、つか見た目の割りに妙に爺臭い口調は!?」 「む、おいおいマスター。貴様いくらなんでもそういう当たり方はあるまいて。そもそも言葉遣いに違和感を覚えるのは文化の違いというやつなんじゃからしょうがないわ」 「そもそも前から思ってたんだがアーチャー、なんでお前はそんなにオッサン臭い喋り方するんだよ?」 アーチャーは主の問いに少し困ったような顔をすると、さも面倒臭そうに説明しだした。 「あー細かく説明するのも面倒じゃから手っ取り早く説明するぞ?ワシらの社会もな年功序列なんだ。 今と違って大昔は年を食ってる老人の方が知識と経験があったからな、それが重宝されたというわけだな。 だがワシらのような若いのも童扱いより一人前の男として扱われたいと思うのが当然であろう? ワシらの時代では子供をきちんと育てきって一人前とされとる。 ということは当然、妻を娶り子を生して育てていく内に自然と一人前の男……つまり父親として相応しい口調にもなってゆく、と言うわけだな。 ……というかな、戦国時代の男はどいつもこいつも骨太のオッサンだぞ!」 説明が終わると、ぬはははははー!と若々しい見た目とはえらく不釣合いな笑い方をするアーチャー。 「父親としてって……お前、子供がいるのか?」 「まあな、娘がおったわ。と言っても当然もう死んどるがな」 さっきまでのひょうきんな声音とは違い、今度のアーチャーの声はずいぶんと素っ気無かった。 ──────Lancers Side────── ついに闇が到来する。 それぞれのマスターの思惑が交錯する中、世界はいつも通りに冬木を夜に染め上げていく。 「よし。これで準備は全て完了っと」 綾香は出かける準備を済ませ、頬を叩いて気合を入れてみる。 バチン!とちょっと威勢が良すぎる音が炸裂する。 ……いたい……しまった、少々力を入れすぎたらしい。 今度は逆に叩いた頬を撫で擦る。 「はっはっは!主殿はお茶目でござるのぅ」 ランサーに今の恥かしい様をバッチリ見られていたらしい。 「ランサーうるさい」 「おっと、これは失敬した」 などど謝罪の言葉を口にしながらも、霊体化しているランサーの口元がニヤついているのは気配でわかる。 「ふんだ。準備も出来たんだし早く行くわよ」 ランサーを置いてズンズンと部屋を出る。 「ところで主殿。どこか顔色が優れんようでござるが大丈夫か?」 先に行く綾香の背にランサーは少し心配そうに声をかけた。 「え?顔色悪いのわたし?」 「うむ、少し青い気がするゆえ問うてみたのでござる」 「う~ん。特に体調が悪いとも感じないから……恐らく、緊張のせいじゃないかしら?」 そう言いながら綾香は特に問題なさそうに笑った。 「まあ主殿がそう言うのであれば、それ以上は拙者は何も言わぬよ」 ランサーはそう言って綾香の背後に無言で忠犬のように寄り添そってきた。 二人で山門を潜り、馬鹿長い階段を下る。 いよいよなのだ。これが初陣。沙条綾香にとって自分の意思で戦う最初の戦。 「そうだ主殿!拙者訊き忘れていたことがござった!」 初陣という現実に少し緊張し始めた頃、唐突にランサーが大きな声を上げた。 「ひゃっ!!?ちょ、ちょっとランサー!びっくりさせないでよ!!」 「いや申し訳ござらん。だがどうしても訊きたい事があったんでござるよ!」 驚かされて少し怒る綾香にもランサーは侘びはすれど、それ以上に大事なんだと言わんばかりの真剣さ詰め掛けた。 「ん、で?何が訊きたかったの?」 あまりのランサーの真剣さに流石の綾香も何事かと耳を傾ける。 「────徳川の天下は終わるのでござるか?」 「─────」 ランサーの口から飛び出したのは聖杯戦争とはなんら関係ない事柄。 だがそれはこの侍にとってはとても、とても大切な事柄だった。 「───ん。そうよ。残念だけど徳川の世は終わるわ」 だからこそ、彼には嘘偽り無い真実を告げてあげた。 「─────。そうか、徳川の天下もついに終わりを迎える時が来たのでござるなぁ」 だが思いのほかにランサーの返事は軽やかなものだった。 「あら、もっと残念がるのかと思ったんだけど?」 「いやそりゃ残念と言えば物凄く残念ではあるが、それでもこの戦乱続きだったこの国を何十年何百年と統治したのでござるから、我が主君の徳川家康もきっと満足してござろう」 そう締め括ったランサーの声はさっぱりとしたこの侍らしいものであった。 ──────Riders Side────── 召喚が終え、再契約を完了させた後、ライダーはすぐさま移動することを提案した。 ”移動だと?何故だライダー?” ”くく、何故も何もあるまい牧師。戦争をするならばまずは足場固めが先だろう” そうしてすぐさまその場から移動した彼らは町に降り拠点探しに勤しんでいた。 代行者七人も無言で牧師の後に付いて来ている。 「あの家屋はどうだ?」 そう言って牧師は一軒の小さな家屋を指差した。 「断る」 「───なに?」 「断ると言ったのだ。なぜこのラメセスがあんな豚小屋のような狭い家を拠点にせねばならん?」 「そんなことを言っている場合では無いだろうライダー。大体貴様は霊体化しているから関係あるまい」 「断る断る断る!嫌だ却下だ拒否だ、俺様の家はもっと大きくないと認めんぞ!貴様はファラオに豚小屋に住めと抜かすかうつけがっ!!」 「なら野宿でもするのか?私は慣れているし別に構わんが?」 「ぼ、牧師!貴様それでも俺様のマスターか!?否、それ以前に貴様それでも文明人か!この原人め!」 「そういうお前は真正の古代人だろう……」 ───最初から頭が痛い。一体どこに住居に文句をつけるサーヴァントがいるというのだ? 「そもそも野宿など体に悪い。いいだろう牧師、貴様がそのつもりだと言うのならこちらにも考えが───」 「わかった、判ったから駄々をこねるな。お前の言う通りもう少しマシな家屋を探す。それでいいのだろう?」 「うむ、苦しゅうない。それでこそ俺様のマスターだ、ハッハッハ」 「となると河の向こう側か……確かトオサカやマトウが根を下ろしているのもあちら側の町だったな?」 「はい、事前の調べによると」 その後、牧師と女代行者は二三言の言葉を交わし河の向こう側の町へ歩き出した。 「うむ、此処ならよいぞ」 と散々歩いた末に決めた日本家屋を前に踏ん反り返るご機嫌なファラオ(馬鹿)が一人。 そしてサーヴァントに振り回されて少し不機嫌な牧師(外道)が一人。 「ならここでいいんだな、ライダー?」 彼らが今居るのは遠坂家や間桐家の反対側の坂に位置するとある日本家屋である。 てっきり建物の大きさだけで決めるものだと思っていた牧師だが、 意外なことにライダーは建物の大きさ、地脈、部屋の造り、敷地の広さを、総合的に考えて一番大きな屋敷ではなく、ある程度大きい屋敷を選んだ。 「ああ、問題無い。広さも我慢出来る程度はあるし、襲撃時用の退路もある、入り組んだ内部は攻め難く守り易い」 「意外と考えていたんだな。ではライダー、それにお前たちもここで少し待っていろ」 そう言うと牧師は一人寝静まった屋敷の中に入っていった。 ───数分後。 中で寝ていたはずの住人たちはふらふらとした足取りのまま両手に荷物を持ってどこかへ歩いて行った。 「マスター、今のはなんだ?」 「大した事は無い。暗示を掛けて今から旅行に行って貰っただけだ。あんな異教徒なら殺しても構わなかったのだが死体の処理も面倒だからな」 「牧師。貴様に一つ確認しておきたいことがあるが、貴様魔術師か?」 「いや、私は教会に仕える身だ。魔術など身に着けているはずも無い。私が使ったのはあくまで秘蹟だ」 「ふん詭弁だな、魔術も秘蹟も同じ神秘であり奇跡であることには変わるまい。 だがまあいいさ。どうやらお前は魔術回路自体はあるようだからな、質はともかく魔力供給は特に問題も無く行われている」 「それは結構なことた。魔力供給が足りない時には言え。適当に異教徒どもを贄に用意してやろう」 ライダーは実体化して先に屋敷の中に入っていく。 「さてマスター、拠点も決まった。早速だがこのラメセスの結界と宝具の配置場所を探しにゆくぞ。戦いは既に始まっているのだ」 先行するライダーは牧師に振り返ると、戦いを前に滾るような笑みを浮かべていた。 ──────Fighters Side────── 「───貴殿が、私の力を必要とし、我が身を現世まで招来したマスターか?」 低くそれでいてよく通る声、男らしい太い眉、遠坂と同じく口髭は無いが立派な顎鬚。 少し長めの髪を大きく左右に分けて額を綺麗に出した風格のある面構え。 硬そうな皮のブーツと丈夫そうな半袖の装束から覗く鍛え抜かれた豪腕。 勇者の名に相応しい幾多の戦場を潜り抜けてきた外套。そして何よりもその圧倒的な存在感。 「左様、私が貴公をこの現世に呼び寄せたマスターだ」 胸の内に湧き上がる興奮を勤めて抑えながら遠坂も応える。 『遠坂たるもの常に余裕を持って優雅たれ』と言う家訓が無かったらきっと遠坂は小躍りでもせんばかりに興奮していただろう。 なにせ今回の聖杯戦争はもはや勝ったも同然なのだ。 聖杯戦争において最高の能力を持つとされるセイバークラス。 それが遠坂が呼び寄せたサーヴァント。 冷めやらぬ胸の高鳴りを抑えながらもまず最初に確認しておかなければならない質問をする。 「まず確認したいのだが、貴殿は彼の勇者、ベーオウルフでクラスはセイバーで相違ないかな?」 朗らかな口調で問うマスターとは対称にサーヴァントは少し済まなそうに口を開いた。 「ん……私がベーオウルフであるのは間違いない、のだがその、だな……マスター………。 期待を裏切ってしまい大変申し訳がないのだが……今の私はセイバークラスではないのだ……」 ……な………な、に……………? 「───今、なんと言ったんだ?」 有頂天な頭に冷水をぶっ掛けられたような感覚。 今この英霊はセイバーではないと言ったのか? 「……ん、セイバーではないと申したのだ。まことにすまぬと思うが……」 重ねて謝罪を口にしながらベーオウルフは遠坂にきっぱりと告げる。己はセイバーではないと。 「ちょっと待てどういうことだ?説明してもらいたいのだがベーオウルフ王。いや待て、セイバーでは無いのならそもそも貴公のクラスは何だ!?」 「順を追って説明するとまず今の私のクラスだが闘士のクラスである『ファイター』に据えられている」 ───闘士?剣士でもなく槍兵でもなく弓兵でもなく闘士だと? セイバー、ランサー、アーチャーの三騎士クラスでもなく、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの基本クラスでもない特別クラスのファイター。 それが今回のベーオウルフのクラスだった。 ──────Sabers Side────── ───冬木の町よりほんの僅かばかり離れたアインツベルンの館。 ドドドドドドドドドドと物凄い勢いで広い廊下を疾走するアホが一人。 「マスターーーーーーーーーーー!!」 「なんですセイバー?騒騒しい」 「よっ!マスターの召使い。マスターはどこにいるか知らないか?」 「お嬢様なら今は寝室で御休みになっています。お嬢様になんの用件があるのですセイバー?」 「へっへっへ~ジャジャーン!さっき森の中でうさぎを捕まえたからマスターにやるんだ。ふふん可愛いだろうこいつ?」 「今すぐに棄ててらっしゃい」 「えーーーーーーーーっ!!?せ、折角マスターの為に捕まえてきたのに!」 「お黙りなさい。お嬢様の為を何かを献上するのなら、そんな獣臭い畜生ではなく敵サーヴァントの首級を持って来たらどうです?」 「む、しかしな召使い。まだ聖杯戦争は始まっていない。 七人集まる前に始めたところで意味は無いし、何よりオレはそんな不意打ちみたいな卑怯な真似をするつもりは毛頭無い」 ───溜息。まったく参る。 このサーヴァントは召喚されてからというもの、暇があれば森に出て兎や鳥を追い掛け回したり、館にある食料を漁ったりしたと思えば、 今の様に卑怯な真似はしないとキッパリ言い捨てる騎士道精神に溢れた一面を覗かせたりするのだ。 「なら結構です。くれぐれも御休みになっているお嬢様の邪魔はしないように、いいですね?」 セイバーはちぇっ、と言いながらどこから漁ってきたのかシャクシャクと林檎を齧る。 「大体セイバー、貴方はサーヴァントでしょう。ならお嬢様に負担を掛けないように普段は霊体化していなさい」 「霊体のままでは林檎が食えないじゃないか」 「そんなものは知りません、そもそも栄養補給なんてサーヴァントには無意味でしょう」 「おっ!?トンビじゃねーか!オラー待てー!!」 侍女の小言を完璧なまでに右から上へと放り投げ、ローランは館の外へ出て行った。 「…………はぁ、まったく……」 これら七つのsideに加えてもう一つ、聖杯戦争に敗れた者達を慰めるお助けコーナー 『助けろ!ウェイバー教授!』を搭載────!! ──────V&F Side────── 「おいフラット……なんで私がこんなところにいるのか簡潔に述べろ」 「なんでって、聖杯戦争にはお助けコーナーは必須だと思うんですよ俺っ!」 「ベルベット征服スタンプ!」 「熱いっ!!?ちょ熱っ!葉巻を押し付けないでくださいよ!?クリティカルヒットじゃないですかっ!」 「マスターV講座の方はどうした!!?」 「それはそれ、コレはコレです。まあまあ先生このコーナーは後書き的な解説とか裏話も兼ねてるんですから仕方ないじゃないですか」 「なら後書きや裏話を書けば良いだけだろう!私は忙しいんだぞ!?」 「だって、そんなもんチマチマ書いても面白く無いじゃないですか……先生だって判ってるくせに」 「……………まあそうだな。私が悪かった」 「先生は何だかんだ言っても教諭の中では話が判るんで皆に好かれるんですねハイ!」 「そ、そんな事は訊いていないだろうっ!で?私は何をすればいい?」 「じゃあそうですね。今回の彼の敗因でもお願いします」 「うむ、完全な実力不足だ。以後精進するように以上」 「ちょせんせぇぇぇぇえええええええ!」 「ところでフラット。本編のマスターたちは出るのか?」 「そんなもん出ませんハイ」 「即答か……まあ第二次聖杯戦争を舞台にしてるから出る方が逆におかしいか」 「あ、そだ。ちなみに強いマスターとかも出ませんよ?」 「宝具投影とか十年宝石とか撲殺蛇とかは居ないわけか?」 「そんな超人マスターとか臍で茶が沸きますよ。英霊に人間は太刀打ちできないっていつも言ってるのは先生じゃないですか」 「あ~一応義務的に訊いておくがボーイミーツガールとかは?」 「あーはっはっはっは!!これ漢しかいないですよ?」 「じゃあ質問の種類を変えるがローゼンクロイツの人形はなんなんだ?」 「なんなんだって先生……。そりゃあ皆鯖のマスター達がローゼンクロイツを”わざわざ”お父様とか呼ぶのはつまり 『いやいや別に俺たちが見たいわけじゃないのよ?○ーゼンメイデン別にやって欲しいわけじゃないよ?うん別にねうん』って事じゃないですか」 「うむつまり?」 「ある種のサービスジョーク。それ以上でもそれ以下でもないです」 「なるほどココはこういうコーナーか」 「はいこういうコーナーですね」 テーマは”普遍的な”の聖杯戦争───! 同盟、共闘、そして裏切りを含めた知謀知略 聖杯の器と降霊場所をめぐる奪い合い 炸裂する数々のスキルと激突する宝具 ───描きたいものはあくまで皆鯖の活躍! 圧倒的と言うよりは納豆的!超大作と言うよりは長大作! ようするに糸引く程に長い……糞長くて恐縮ですハイ。 それぞれが己の持ち味を生かし活躍するサーヴァントたちの雄姿を見よ! 皆鯖を愛する君たちへ Fate/Another Servant HeavensFeel 2
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バベル外伝? 11話 ~~放課後、衛宮家 前アーチャー「うーむ、何か嫌な予感がする」 凛「嫌な予感?」 前アーチャー「そうだ。何か人生の危機というか、何と言うか……」 イリヤ「命を狙われてるとか?」 前アーチャー「まさか。そんな命を狙われるようなことは、この聖人君子である俺様がやるわけないだろ」 ~~同時刻、南米アマゾン ルヴィア「お、お腹が空いたわ……何で私がこんな目にあってるの」 クラン☆カラティン(シブトイ女ダ……) ルヴィア「あ、芋虫……貴重なタンパク源ね。あの優男、覚えてなさい」(ムシャムシャ) 士郎「そうなると、病気か?」 前アーチャー「サーヴァントは性病にしか、かからないぜ」 凛「嫌すぎる……最悪だわ」 ライダー「そうなると、日頃の行動パターンから何か割り出すしかないわね」 イリヤ「ライダーさん、さすがだね。頭いいな」 ライダー「それほどでもないわ」(ポッ) 凛「その頭の良さ、イリヤにセクハラすること以外にも割り振りなさいよ……」 前アーチャー「行動パターンね……最近はこんな感じだな」 ~~朝、カレンの家 カレン「アーチャー、そろそろ朝ご飯できるわよ」 前アーチャー「んあー、そんな時間か……」 カレン「起きて頂戴」(ゲシッ) 前アーチャー「わかったよ」 ~~登校時間 イリヤ「おはよう、アーチャー」 前アーチャー「おはよう、イリヤ。徐々に安産型のいい尻になってきたじゃねえか、げへへ」 イリヤ「きゃっ! お尻触らないでよ、アーチャー」 ライダー「……ロードローラーよ」(ズシン) 前アーチャー「ちょ、待て! ぎゃあああああああ!」 ~~日中、幼稚園 前アーチャー「お嬢ちゃん、この年の男は騙し易いから、ほいほい逆ナンに乗ってくるぞ。よく覚えておけ」 復讐の女神「だましやすい?」 エドワード・ティーチ「アーチャー、うちの女神に変なこと吹き込まないで欲しいな」(汗) ~~お昼休み、穂群原学園屋上 アヴェンジャー「はい、あーんして」 前アーチャー「あーん。うめーうめー」(もっちゃもっちゃ) アヴェンジャー「お弁当、ちゃんと作ってあるから、楽しんで食べてね」 前アーチャー「いつもすまねえな。あーん」 綾子「あれ、完全に餌付けされてるよね」(ヒソヒソ) 凛「アヴェンジャー、やるわね」 ~~夕方、茨城童子の家 茨城童子「お帰りなさい、アーチャー。お風呂にする? ご飯にする?」 前アーチャー「いや、だから毎日三つ指ついて出てこなくていいから。とりあえず風呂にするわ」 茨城童子「わかったわ。その間にご飯用意しておくわね」 ~~夕食時 茨城童子「はい、アーチャー」 前アーチャー「ビールと枝豆、冷や奴……おまけにテレビは野球中継」 茨城童子「アーチャーの好物でしょ」 前アーチャー「いや、それはそうなんだが……茨城童子って中学生だよな」 茨城童子「どうしたの、急に?」 前アーチャー「何でも俺に合わせて貰ってる気が……」 茨城童子「いいのよ、気にしないで」(にっこり) ~~布団イン 前アーチャー「ほら、早く入れよ」 茨城童子「んー、アーチャー温かい」 前アーチャー「あ、馬鹿、そんなに抱きつくな」 茨城童子「~~♪」 ~~就寝 前アーチャー「ぐががががが、しゅぴー、ぬごおおおおお!」 茨城童子「すーすー」 凛・綾子「ダウト」 前アーチャー「嘘じゃねえよ!」 イリヤ「アーチャーってお友達本当にいっぱいいるんだね」 凛「……本当になんでこんな奴が付き合い広いんだろ ……まあ、原因はわかったわね」 綾子「アンタ、本当に月の見える夜と背後には気をつけなよ……」 ~~夕方、イリヤの部屋 イリヤ「今日は友達の家に行かないの?」 前アーチャー「俺は生まれながらのジゴロだぜ、今日は愛人イリヤの家に泊まるっていう気分だ」 ライダー「………」 前アーチャー「ライダー、黙ってぶぶ漬けを俺に差し出すんじゃねー!」 イリヤ「アーチャー、電話でスキュラさんが家に来て欲しいって」 前アーチャー「嫌なこった。今日はこのセーフハウスで過ごすと決めてある」 イリヤ「家に宅配業者が来て、アーチャー宛ての女子○生援助交際白書ってDVDが届いて困ってるって……」 前アーチャー「何だって!? 注文した覚えは無いが……三分で向かうって言っておいてくれ」 イリヤ「行っちゃった。ライダーさん、あれって……」 ライダー「注文してない品が届くはずは無いわね。 どうせカメラを回せば女子○生援助交際白書が作れるのだから、問題は無いけど」 ~~翌日、凛の部屋 凛「アーチャー、電話で清姫さんがアーチャー宛ての女子○学生痴漢電車っていうDVDが届いて困ってるって……」 前アーチャー「う、嘘だー! 俺様を騙そうとしたって、そうはいかんぞ!」 凛「昨日は引っかかった癖に……」 桜「新しいガーターベルト買ったから、見て欲しいって……」 前アーチャー「や、やめろおおおお! 俺は何も聞こえない、聞こえないぞおおおおお!」(ガタガタ) 凛「正念場ね。アーチャーが誘惑に乗るか、迷惑男撲滅組合が女子力で勝つか……」 ~~一時間後 桜「やっと清姫さんの電話が終わりました……」 凛「お疲れ、桜」 前アーチャー「あ、危うかった……夜のお散歩に連れて行ってと言われたときは危うかった」 凛「そういうこと伝言するこっちの身にもなってよね」(げっそり) 桜「でも、こうなると……」 前アーチャー「ふははは、今日は凛のベッドで寝るぜ」 桜「最低ですよ」 凛「とりあえず、とっとと風呂に入って来よう。 全く、何で桜が泊まりに来てるときに限って、アーチャーが来るのよ」 桜「アーチャーさん、お願いですから覗かないでくださいよ」 前アーチャー「それはダチョウ倶楽部のフリみたいなもんか?」 凛「死にたいと申したか」(チャキッ) 前アーチャー「どうぞ、ごゆるりと……」 ~~三十分後 桜「アーチャーさん、上がりましたよ」 凛「おかしいわね、何処にもいないわよ。窓が開いてるから、やっぱり帰ったのかしら?」 桜「何これ? ノート?」 ノート『先程から凛と桜の電話が鳴り止まない。あの着信音は紛れもなく清姫からのものだ。 俺はベランダに絡みつく炎を切る作業に忙しいが、いつまで持つかわからない。 地の底から響くような声が、アーチャーと言っているのが聞こえる。 ああっ、窓に白い影が影が……巨大な蛇の頭頂部に般若の仮面が……いあいあ』 凛「……燃やしておくわね」 桜「そうしましょう。今日はアーチャーさんは、うちには来なかったということに」 ~~数日後、登校時 前アーチャー「……イリヤ、ちょっとボツワナに魔法少女を捜しに行ってくるから、後は頼んだぞ」ボロボロ イリヤ「行っちゃった。アーチャー、しばらく戻ってこないのかな?」 ミユ「半日後には彼女たちに連れ戻されるわね。迷惑男撲滅組合からは、誰も逃れられない」 イリヤ「あはは……大丈夫かな?」(汗) 2/The Tower, La Maison de Dieu backnight Ⅱ Helleborus どのくらいの間、ワタシは、動いていたのだろう 脳はとうに機能していないのに、感覚だけは律儀に働き続けている。 生存と苦痛は同義。 たとえ心臓だけであろうとも、在り続けるかぎり心身を痛め続ける。 長い時間。 ワタシは、そんな日溜まりに放置される。 それは極まっている希望で、行き詰まっている絶望だ。 下らない。唾棄すべき錯覚でしょう。 何もかも認識不足、経験欠如であるが故の勘違い。 ……ワタシは、痛みと安らぎを繰り返す。 北へ南へ、西へ東へ。 手足の感覚がないのも、段々と欠けていくのも痛くはない。 ただ、怖い。 何もないということ。 何にもなれなくなる不実が耐えられない。 いずれ、何も実らないというのであれば。 この苦しみは、苦しむ為だけの苦しみになるでしょう。 生きているのに、死にかけている傀儡のカラダ。 がむしゃらに自由を望みながら、しゃにむに、縛られることを望んでいる。 その背反を。 古く、彼らは地獄と名付けた。 告白すれば。 ワタシは、寂しかったのだ。 ……音が聞こえる。 カッチッチ、カッチッチ。 小石が弾け合うような音はどことなく規則的で、陽気なポルカを連想させる。 私はぼんやりと、その音だけを聞いていた。 ……何処だろう、ここは。 思い出せない。いいえ、思い出す、という行為をしたがらない。 自分のだらしなさに恥じ入る。 こうして目覚めたのに、意識、理性が目覚めようとしないなんて。 「っ、ぁ――――――」 重い頭、重い手足に力を込める。言うことをきかない肉体に鞭を入れる。 腕を立てて、うつ伏せになっていた体をわずかに起こす。 ……私はソファーに横たわっていたらしい。 どのくらい眠っていたのか。 それを思い出そうとして、いや、そもそもここが何処なのか思い出そうとして、 ひどいダメージがこめかみを貫いた。 目眩がする。まるで泥酔後の朝だ。 ……酒に弱いクセに見栄を張って飲み明かしてしまうのは私の悪癖だが、幸い、体内にアルコールは残っていない。 「―――ここ、は―――」 目眩でグラグラする意識で状況を確認する。 前アーチャー「―――起きたか」 明かりがなく、視力が衰えている為、明確に捉えられない。 それでも人影が男性である事は読み取れた。 前アーチャー「可愛らしい寝顔、いやはや堪能させていだたきやした。 そら、行くぞ。まずはこの生温い箱庭を案内してやる」 男はケラケラと笑う。 耳障りな笑い声だが怒りを感じない。 私は呆然と、男を不思議そうに見つめている。 「私は、どうして……?」 とにかく、まずその疑問が優先した。 自分がどうして眠っていたのか、どうしても思い出せない為だ。 男は眉をひそめて―――よく見えないというのにおかしな話だが―――部屋の隅を指さした。 そこには古い、曇った姿見(すがたみ)がある。 前アーチャー「自分で確認しろよ。 アンタは何でも、自分一人で出来るんだからよ」 「………………」 おぼつかない足取りで姿見へ向かう。 明かりはなく、青ざめた月光が闇を際だたせる。 呆然と私を見る、見間違いようのない私の姿があった。 「あ――――――」 声が漏れる。 不可解だ。自分の姿を見て、私は何かに驚いている。 暗い色を帯びた金の髪と紅い瞳。 可愛げのない、人を威圧する事しか出来ない不吉で禍々しい刺青。 女である事を否定するような、鎧めいた男装。 これは僕だ。今まで通りの、何の代わり映えもしない、アンチキリストの姿である。 前アーチャー「まだ、存在が不安定なようだな。 まあ、散歩がてら夜の風を浴びていれば自然と落ち着いてくるだろうよ。行くぞ」 街に出よう、とアーチャーが促す。 体はまだ不安定だが、町の様子も気にかかる。 それに―――長く眠っていたからなのか、とにかく、私の体は運動(ジユウ)を欲しているようだった。 アヴェンジャー「……分かりました。細かい方針は、状況に応じて変えていきましょう」 洋館は高い丘の上に建っていた。 周りに人家はなく、森の中に隠れるように佇んでいる。 ……頭痛がする。 外の空気を吸えば幾分クリアになると思われたが、冷たい夜気はいっそう思考を曖昧にする。 前アーチャー「どうしたよアヴェンジャー。初めての自由に感無量なのか?」 私をからかうサーヴァントの声。 頭(かぶり)を振って前に進む。 意識がゆるやかに回転する。 明るい月の光に、気が眩んでいるようだった。 静かだった。 午前二時を過ぎていると言っても、街の静けさは度が過ぎている。 ……すこし、まだ見ぬ故郷に似ているかもしれない。 あのまま深海の底に留まっていたら、誰からも忘れ去られてしまう気がしてならない。 もう誰も覚えていないという、古い神々と同じ末路を辿る事が、呪いに思えて仕方がなかったからだ。 「……………………」 そして今、冬木の街も深海に没している。 私が記憶している冬木とは雰囲気が違う。 静かすぎる―――これでは廃墟と変わらない。 にも拘(かか)わらず、生き物らしき気配だけはある。 きちんと、夥(おびただ)しいまでの息遣いを感じる。 私の周りには体験した事のない気配が満ちている。 前アーチャー「さて、なにから話したらいいかな。 俺はあんたとは正反対の頭より手が先に動くタイプだからよ 先に大雑把にこの箱庭の構造(システム)から説明してから質疑応答っていう 形にしようぜ。アーユーオーケイ?」 アヴェンジャー「問題ありません。よろしくお願いします」 そうして、夜道を歩きながらの彼の説明が始まる。 前アーチャー「まずは自分の状況を教えてやるか。 ―――おい、確認するが。お嬢ちゃんは、昼間の出来事をまだ知っているだけか? 実際に見た訳でもなくて、その暮らしを体験してもいない」 アヴェンジャー「ええ。ただ知ってるだけです。夢で見たとか、どこかで聞いたとかいうのもない けれど知っている。この町で起きる事なら、なんとなく把握できる。 けど、今の私はまだ安定してないから思い出せない」 前アーチャー「ヒュー♪こいつあ期待以上のオツムだ。この僅かな時間でそこまで考察がいったか。 ならその先を補足しよう。それは俺たち英霊様の無様な今の姿 現世にある本体を模して構成されたあのガキのお人形さんだからだぜ 勿論、俺たちだけじゃねえ。ここにある物全てが雑な劣化品だ」 所々におかしな気配を感じる。 常に誰かに見られている。 ―――街の至るところに、微妙な綻びがある。 アヴェンジャー「……そうですか、思念を持つ者は我々と、その主催者だけということですか」 前アーチャー「ああ、此処にいる人間ぽいのはみな空っぽの人形だ。 決められたシナリオに沿って動くロボットみたいなもん。 あんたも最初以外は今日まで昼間の間は死んだ魚みたいな目ぇして、ちょこちょこ動いていたぜぇ」 アヴェンジャー「ではなぜ我々だけが?」 前アーチャー「俺様は10年前の聖杯戦争の参加者でな。 そん時に杯の中身のを浴びて肉の身体と聖杯への回路(パス)を得たんだ。 で、今回の聖杯戦争が始まる直前にこの箱庭が造られた。 でもぼっちのガキは肝心の住人をどうしても作ることが出来なかったんだと。 生きた人間の魂は連れてこれないし、家の自家製人形のデータだけではどうにも味気ない。 コミュ不足のせいで、自分の力じゃどうにもならねえ。 悩んだ挙句、ガキは聖杯戦争の関係者のコネを利用して、呼ばれてくるサーヴァントの データをコピーしてお友達になってもらったってワケで 迷惑なことに、そのツテからモノホンの俺様まで間違えて引っ張ってきやがった」 ケタケタと笑いながら、彼は唐突に横に曲がり 見ず知らずの人の家にズカズカと入っていく。 僕も、それに黙って付いていく。 玄関を抜けてリビングに出ると、人影が3つ見えた。 光点が6つ。 ここの住人であるだろう親子……らしい煤けた人間みたいな人形が呆然と中央に立っていたのだ。 前アーチャー「あとアンタは超特殊だからじゃね?なんつーかアンタって現象みたいなもんじゃん 座から来る過程ってのがさ、周りの環境と条件から発生するばい菌のようなもんっしょ? だからアッチに合わせてアンタも魂を持ったんじゃん、いちよーベースはあるわけだし」 アヴェンジャー「……なら彼女も」 前アーチャー「ああ、そういや超糞女(グレートビッチ)も意識あるんだったな。 アレは気色悪いぐらいにガキに尻尾を振って、正直なに考えてるかわかんねえ まあ、お陰でガキの目が緩くなって、こうして寝てる隙間に外に出ることが出来るんだが…… 絶対禄でもない事考えてるだろうからな、注意しとけよ」 牢獄。 そう、この箱庭は『牢獄』という事柄に当て嵌まる。 当然だ。 意思のある人間が住むことを想定していないのだから。 彼女にとってはまさに楽園なのだろう。 争いや諍いのない世界。優しい人々に囲まれ、いつも笑顔に満ちている。 ……けれど、僕がいた位置はそれとは対極的に違っていた。 苦しみだけではない。 此処には永劫と空虚があった。 どちらも僕の手には届かない、届いたところで意味のないもの。 それ故に苦しい。 人権の剥奪、尊厳の剥奪、自由の剥奪。 そういったもので構成されている死後の世界を、人間なら誰でも聞いた事があるだろう。 間断なく永遠に続く苦しみ。 仏教では、それを無間地獄と伝えている。 結局、いつもと同じだ。 前アーチャー「けど、この箱庭は曖昧で、どこかおかしい」 家を出て再び夜道を歩きながら 彼は、忌々しそうに続きを語る。 前アーチャー「しばらくはただのままごとだったんだが、しばらくしておかしな事が起きはじめた。、 この街の人間が、日々溢れだしてる“得体の知れない連中”にどんどん減らされていってんだ」 アヴェンジャー「得体の知れない連中……?」 前アーチャー「ああ。この町は大分おかしい。あのガキかライダーの仕業かもしれねーが その割にはやり方やクセがバラバラすぎる。 この世全ての悪(アンリマユ)なら臭いでわかる……たぶんこれは別の奴の仕業だわな」 アヴェンジャー「…………」 前アーチャー「仮に、聖杯を欲しがっている奴がいるとしてもだ。 こんな、ままごとしか出来ない場所の何が欲しいんだ? 別にこれじゃなくても、他にもっと良い物はわんさかある」 アヴェンジャー「言っておきますが、僕じゃありませんよ」 前アーチャー「そいつは結構。まあ、別にあのガキがどうなろうと知ったことじゃねえし 此処じゃあ、そう簡単に死なせてくれねえから、危険も大きくはないだろーしよ まあ、やる事ねえし暇つぶしに調べてはいるんだが一つだけわかったことがある」 くくく、と笑いを押し殺すアーチャー。 黒い影は、歩を止める。 前アーチャー「在りもしない聖杯戦争を勝手におっぱじめているコト。 この街の異状は、全てそれを基点にして起こっている、お出でなすったぜ」 その視線の先には、サーヴァントの姿があった。 「っ……!」 強い魔力を感知する。 時代錯誤の戦衣装。 あれは、この国の「サムライ」という鎧兜ではないだろうか。 「夜分にご無礼を 初めてお目にかかり申すが、戸次道雪と申すもの。本日は立ち合いに参ってござる して、貴殿等の名をいかがか、お願い申す」 何のクラスかは判別がつかないが、刀剣を下げている以上近接タイプのサーヴァントである可能性が高い。 「―――――」 茨杖を取り出す。 なぜ、他のサーヴァントが闘いを望むのか 疑問が浮かぶが、今はそれどころではない。 男は礼儀正しく僕らの出方を待っている。 アーチャーはポイっと投げ捨てるように私に黒い小さな筒を渡し、腰を低く構える。 アヴェンジャー「―――敵の実力は未知数です。貴方は相手を出来ますか?」 前アーチャー「少しはな」 様子を見る慎重さもなく、彼は敵サーヴァントへ走りだす。 激突する二つの影。 僕はその横を通り抜け、側面となる家の屋上へ走り込んだ。 冴える月下。 伸びる影は長く、剣と太刀の照り返しは肌に突き刺さるように鋭利。 前アーチャー「―――――――ハ」 嫌悪を息にして吐き出した。 まったく、何もかもいつもの殺し合いと同じでうんざりする。 前アーチャー「で、今夜もまたやりあおうってワケか。いっとくけどな、おまえがいくら俺に勝った所で変わらないぜ?。 俺が殺されるってコトはガキが癇癪を起こしてこの夢が終わるってコトだ。 なら、その瞬間にこの街もおまえも消え去る。てめえは、意味のない殺し合いをしているだけだ」 踏み込み、威嚇なしで剣を振るった。 「――――――――――――」 ヤツは難なく完璧なタイミングで弾く。 結果として、ヤツは俺の命よりアヴェンジャーの命をとっていた。 俺が踏みこんだ瞬間、後方に跳び退いたからだ。 切っ先が交差する。 幾度にも振るわれる剣線、 幾重もの太刀筋。 弾け、火花を散らしあう剣と太刀。 ―――数十合を越える立ち会いは、しかし、一向に両者の立場を変動させない。 前アーチャー(面倒くせえ、やっぱ接近戦じゃあ駄目だ。 すげえ守りは固てぇし、やたらとべったりくっついてきやがる――――!) 太刀を閃光のように振るい、アーチャーの進撃を防ぎきる敵サーヴァント。 いや、それは防ぎきる、などという生易しいものではない。 アーチャーの剣戟が疾風ならば、敵サーヴァントの太刀は稲妻だった。 直線的な軌跡はアーチャーの一撃を悉く弾き返す。 そうして返される刃は速度を増し、閃光となってアーチャーの首に翻る。 ―――その一撃を紙一重で切り払い、踏み込む。 そして、またも太刀筋が間髪入れずに返ってくるのだ。 敵の顔は戦の昂揚で自然と笑みが貼り付いてきた。 前アーチャー「―――うぜえ。一人で盛ってじゃんねーよ、蛮族(バルバロイ)」 ここまでだ。ここに来た理由はもうない。 闘う理由も何処にもいない。 視線を送り、アヴェンジャーに合図を送る。 間髪入れずに、彼女は懐から護身用に闘いの直前に渡された閃光弾(スタングレネード)を取り出す。 何か、柔らかいものが一緒に取り出された。 どうしてこんなハンカチを持っているのか、なぜ大事そうに仕舞っていたのか。 身に覚えはないが、今は疑問を抱いている場合じゃない。 二人の足元に転がるように投げ込まれ、敵が気が付くと同時に辺りを轟音と閃光が包む。 一瞬、敵を見失い気配が遠ざかるのに気づき、3秒ほど遅れながら対象を追うため捕捉に走ろうとしたその時 墨汁のようにねっとりと行く手を遮る暗闇を、 光芒で切り裂きながら、アーチャーは鋼の猛獣を駆り立て 真正面の進路を遮ったそれを、揺るがぬ視線で見据え、避けることなく一直線に突進させながら 『千鳥』の迎撃もろとも重く激しくコンクリート塊ごと強打し、軽石のように易々と空中に叩き上げた。 前アーチャー「ざまあみやがれバァァァァァァァァカ!! 一昨日来やがれヒャハハハハハハハハハハ!行くぜアヴェンジャー、ずらかるぜ!」 アーチャーの飛行装置に乗り、あっという間に戦地だった道は視界から消えた。 彼に労いの言葉をかけようと、声をかけようとしたが 敵を上手く出し抜いたことがとても嬉しいらしく、大声で襲ってきた敵サーヴァントを口汚く罵り哄笑を上げていた。 宵闇の中、遥か彼方に瞬(またた)く新都の光を遠望し、アヴェンジャーは深い溜息をついた。
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【元ネタ】シャーナーメ 【CLASS】バーサーカー 【マスター】 【真名】ザッハーク 【性別】男性 【身長・体重】177cm・158kg 【属性】秩序・狂 【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷D 魔力A 幸運E 宝具A+ 【クラス別スキル】 狂化:E 筋力のパラメーターをランクアップさせるが、理性的思考が困難になる。 【固有スキル】 単独行動:A- マスター不在でも行動できる。 人間の脳を媒介にすることで現界し続けられる。 ただし、媒介にされた脳は一日もすれば負荷に耐えられず使用不可能になる。 予知:E 魔術系統の一種。Eランクでは将来の重要事項を稀に夢で見る程度である。 ザッハークは生前自身を殺す相手を夢で知ることが出来たが、その運命を変えることは出来なかった。 【宝具】 『憑き纏う呪いの双蛇(アジ・ダハーカ)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:400人 暗黒神アンリ・マユの呪いによって生やされた二頭蛇。 ザッハークの肩から生えたこの二頭蛇はアジ・ダハーカの化身であり、その力の一端を宿す。 ザッハークの精神から独立した思考を持つ幻想種である。 切り落とされようとも、再生し、切り落とされた部分は悪性の呪いとなり周囲を汚染する。 【解説】 ピーシュダード朝第五代の王、蛇王ザッハーク。 給仕に化けた暗黒神アンリ・マユによって父マルダースを殺し、 ジャムシード王を弑逆して、ジャムシード王の妹二人を妻として王となった。 また、時期は不明であるが、アンリ・マユの呪いによって、 両肩に何度切り落としても再生する蛇を生やされたという。 アンリ・マユは驚き苦しむザッハークを唆し、 彼の千年の治世に渡って、夜毎に二人の若者を蛇の生贄とさせた。 それにより、17人の息子を殺された鍛冶屋のガーウェは不満分子を集めて反乱を起こす。 その中の一人にザッハークの打倒を運命付けられ、 聖牛ビルマーヤに育てられた英雄ファリードゥーンがいた。 ザッハークは激戦の末にファリードゥーンに心臓を突き刺されて死んだとも、 デマヴァンド山の洞窟に今も幽閉されているとも言われ、その末路は定かではない。 【イメージイラスト】 ザッハーク 【出演SS】 ソロモン&ザッハーク 神々を憎む者達 びっくりドンキー英雄伝 マスターV教授(+フラット君)のサーヴァント講座 六時限目 ペンテシレイアVSザッハーク
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満月が、地上を照らす。月光が降り注ぐなかで、酒を酌み交わす男が二人居た。 「中々いけるな、東洋の酒も悪かねえ」 赤い髪、黒いマントを羽織った男は、酒を素直に褒め称えた。 「そうだろう。“魔術王ソロモン”よう、現世に来たなら楽しまんとなあ」 子供のように笑う男は、筋骨隆々とした褐色の身体を道士が着るような服に包み、酒を飲んでいた。 「だが、今日の楽しみは酒じゃねえ。そうだろう?“至天帝軒轅”……それとも黄帝の方がいいか?」 「どうでも。どうせ帝位ほっぽり出した身だ。今はただのライダーで十分だ」 そこで、“黒”のライダーは酒を飲み干した。 「大体、俺が今でも皇帝だったら、お前さんは跪くのかよ?」 「するわけねえだろ。俺の主人は俺だけだ」 そうかい、と言うと、ライダーは杯を地面に落とす。陶器の杯は粉々になった。 「俺の相手としちゃ合格だ。それじゃあ始めるとするか」 酒は景気づけのために飲んだ。これより先の決着は剣でつける他には無い。 「ああ、お互いのサーヴァントが何騎も散ったってのに、王様が何もしねえんじゃ、様にならねえ」 周囲に魔力の渦が巻き起こす風が吹きすさぶ。 至天帝の傍らには巨大な車輪と車体を持った龍の引く車が出現した。 それは壮大にして大迫力。『中国』という国の基礎を作り上げた人物の相棒がそこにあった。 「七香指南車、俺が発明したんだ。羨ましいだろ。やらねえぞ」 「荷車如きに用はねえよ。だが、その龍は気に入った。俺が頂く」 応龍を見る魔術王の背後には数多の魔神達が佇んでいた。 異形なるもの、美麗なるもの、強靱なるもの、神聖なるもの、触れてはいけないもの、ソロモンの72柱がそこに居た。 「応ちゃんは俺の相棒だ。口説きたけりゃ誠意を見せな」 魔神達に怯む様子も無く、至天帝は自らの宝具に乗り込み、起動させた。 「そうだな、だが俺の口説き方はちと荒っぽいぜ」 魔術王が腕を一降りさせると、多くの魔神が前進を始めた。 「「行くぜぇっ!!」」 剣戟が舞い、斬光が煌めく。血風が吹き、雷電に似た攻撃が疾走し、閃光が散った。 「ああ、もう!しつこいわよ。この余所者があ!」 遠坂家当主、遠坂凛は、文句を言いながらガンドを連射し、片手で宝石魔術を行使した。 勿体ないなんて、言っている場合では無い。眼前の相手はそれほどまでの相手だ。 その相手もまた片手でガンドを撃ち出し、片手で宝石魔術を行使した。 「ほほほほほ、野獣の本性が出ましたわね。トオサカの当主、いえ、お猿さんと言った方がよろしいかしら?」 「誰が猿だ。この縦ドリルがあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 縦ドリル呼ばわりされた少女―――エーデルフェルト家当主、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、先祖の雪辱を果たすためにこの戦争に参加した魔術師は、声を張り上げた。 「トオサカの当主は私が打ち倒しますわ。貴男はサーヴァントの撃墜を!」 「了解した我が主よ」 それに応えたのは、鎧に身を包み、清廉を形にしたような聖剣を持つ青年。 凛もまた、負けじと声を張り上げる。 「エーデルフェルトの当主は私がぶちのめすわ。貴女は敵サーヴァントに集中して!」 「あいよ!凛!」 それに応えたのは、軽装に身を包み、額からは雄々しい角が生えている鬼の少女。 宙に浮かぶ物も含めて三振りの魔剣は、妖しい光を放った。 「「宝具を!」」 「「承知!」」 鬼姫と、聖騎士は高速で互いに突撃する。それは砲弾のような勢いだった。 「『大通連』、『小通連』、『顕妙連』!出番だよ!暴れちゃいな!」 「聖剣よ。存分に怪物の血を吸え!」 突撃が一瞬で交差する。 「『無穢なる清煌(オートクレール)』!!」 「『阿修羅三連(あしゅらさんれん)』!!」 無数の剣群と、いと高き光が爆発した。 「「セイバー!!……え?」」 同時に自分のサーヴァントのクラス名を叫んだ彼等の主は、お互い呆気にとられて顔を見合わせた。 人で無しの戦いだ。 それを目撃した衛宮士郎の感想はそれ一つだった。 空飛ぶ剣が騎士を襲い、聖剣の煌めきが鬼を屠ろうとする。 その後は、脇も見ずに駆け抜け、自宅の土蔵に這々の体で辿り着いた。 だが、その場所すらも最早安全では無い。セイバーと言っていた従者を従える少女の来訪が、運命を決定づけた。 「“黒”のアサシンだ。あんたが俺の大将かい?」 暴風と共に出現した、黒衣に身を包んだ巨漢、しかしその体躯は恐ろしい程の鋭さを連想させる。そして、アサシンと名乗った男は詳しく説明する前に姿を消した。 土蔵の外から聞こえる声に出てみると、アサシンが先程見た少女に襲いかかろうとしている場面だった。 「やめろ。アサシン―――!!」 「つまり大将はこの殺し合いのことなんざ何も知らずに、俺を召喚したと」 一悶着終えた後で、士郎は少女とサーヴァントから、説明を受けていた。 「まあ、ありえない事ではありません。偶然に偶然が重なったのでしょう」 少女―――ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトは、腕組みしながら考え込んだ。 「しかしよ。どうするんだい大将、関わっちまった以上、後戻りはできんぜ」 アサシンの言葉に、衛宮士郎は決意を返した。 「俺は、聖杯なんていらない。全てが終わればアサシンに渡す。俺は戦うよ。誰も泣かなくていいように」 黙って聞いていたルヴィアはお茶を飲み干すと、ふう、と息を吐き出す。そして言葉を紡いだ。 「それならば、提案があるのですが、エミヤシロウ―――」 新都に存在するビル。そこに、魔術師の一族が陣地を構えていた。 ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアは、報告の上がった情報を吟味している。 「御三家は勿論、マクレミッツにエーデルフェルト、それに『大学』からもマスターか」 「相手方は大学の一人を除いて、手強い魔術師ばかりですね」 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアは心配そうに眉をひそめる。 「だが、退くわけにはいかん。賽は投げられたのだ」 軍服を着込んだ銀髪の女が、召喚の触媒となる物品をマスター候補達に配りながら呟いた。 「奴らも我々が予備システムを起動させたことを既に知っているだろう。幸いなことに私を含め五人に令呪が浮かんでいる。早めに召喚の儀式を執り行うぞ」 大聖杯の予備システムを起動させた張本人にして、ナチス残党組織グラズヘイムから出向したマスター候補、ドイツ第三帝国に協力していた魔女のクローン、ヒルデガルト・フォン・ノイエスフィールは、 自身で召喚する予定の英霊縁の品を手に取りながら、ダーニックに話しかけた。 「グラズヘイムの総意として、これより正式にユグドミレニアへ協力させて頂きます」 ダーニックはにこやかに微笑みながら、返事を返した。 「よろしい。私もかつて帝国の代表として三回目の戦争に参加した身だ。微力ながら協力させてもらおう」 「はい。かつての栄光と、これからの栄光のために、勝利を勝ち取りましょう。ジーク・ハイル」 「その通り。ジークハイル・ヴィクトーリア」 今ここに、勝利を追い求める亡霊と、権力を追い求める怪物の邂逅が成った。 間桐臓硯は焦っていた。 あろうことか、一勢力が多くの駒を従えたときにのみ起動させる本物の非常手段、予備システムが外来の魔術師の手によって起動されたのだ。 「不味い!あまりにも不味い!!」 そもそも、その非常手段がこれまでの四回の戦いで起動されなかった理由の一つは、最悪の場合地脈が枯れ果てる恐れがあることだ。そうなればこの地で二度と聖杯戦争は出来なくなる。 「ユグドミレニアの小蝿どもめ、余計な真似を……」 この事態を引き起こした者達へ気炎を吐くが、起こってしまったものはしょうがない。 「……勝負に出る以外無いか」 臓硯はかつての盟友、遠坂の屋敷を見上げた。 「同盟?」 遠坂凛は、目の前の妖怪からの提案に、嫌悪を無理矢理押し殺して話を続ける。 「然り。この事態は看過できぬ。この上は我等御三家でユグドミレニアを駆逐すべきと考えるが」 「……少し、席を立たせて貰えるかしら」 そのまま隣室に移動し、霊体化していたセイバーを出現させる。鬼の姫は心底嫌そうな顔をしていた。 「……どうだった?あの爺の心を読んでみて」 読心の能力を持つセイバーならば、あの妖怪の真意が分かるはずだと待機させておく作戦を凛は立てていた。 「鼻が曲がるくらいに臭くて、目が腐るくらいに濁ってて、耳を切り落としたくなるくらい雑音だらけ、でも分かったことがある」 「……何が?」 「桜って娘をいざという時は使い潰す気だ」 石を叩き割ったような不愉快な音が部屋に響く。凛の口元からは一筋の血水が流れていた。 「……話は受けるわ」 「おお、流石は遠坂の当主よ。これで」 「話を早く進めましょう。こっちの戦力は?もうサーヴァントは召喚しているの?」 「話が早いのう。まあ、良いわ。アインツベルンとはもう話がついておる。人形にはだいぶ嫌がられたがな。協会の執行者……アイルランドのルーン使いも、盟に加わる旨を明らかにした。 マキリからは儂と孫が出る。そして遠坂、お主を入れてマスターが五名、これで何とか喧嘩になるわ」 かかか、と高笑いする臓硯に、凛は一つだけ質問した。 「あと二人は?」 「一人に関してはもう当てが付いておる。あと一人じゃが……こ奴に期待はしておらん。数合わせよ」 「……?」 凛の怪訝な瞳に、呆れたように話す。 「あれはもう死にかけよ。何が出来るとは思えん」 「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。手向ける色は“赤”」 黒いコートと帽子を身につけた男、老人のような顔をした男、瞳に覚悟と狂気を秘めた男が呪文を詠唱している。 ルイス・ローウェルはただの凡人だ。魔術の才能は三流以下、その手も足も人類の敵を倒すことは出来ない。 だが―――勝てなくても戦うことは出来る。 魔術が使えないのであれば、科学を使えばいい、足を使って逃げ回り、手を使って銃を撃てばいい。 知識を集め、後に続く者達のために残していけばいい。この身が砕け散るまで。 そうやってルイスは戦い続けてきた。そして、これも戦いの一つだ。 令呪が現れ、英霊の召喚に移る際、ルイスは呼び出す英霊をもう決めていた。 ルイスが英霊に求めたのは自分と似た精神性だ。 汚いと呼ばれても、どのような状況下でも生き残る。 悪辣と呼ばれても、いかなる相手にでも勝利を優先する。 たとえ卑怯と罵られても意に介さぬ、泥まみれのそれでも負けないことに特化した精神。 それらを総合すれば、誇り高い騎士やサムライは除外される。 勇敢な戦士も問題だ。無意味な戦いに飛び込む危険性がある。 それならば、たとえ悪党と呼ばれた男でも、呼ぶには『こいつ』が適任だろう。幸いにしてこの国でも知名度はある。 ルイスは魔法陣の中心に置かれた石の欠片を見つめた。 フォート・サムナーから持ってきたある英雄の墓石の一部。 呼ばれるのは、墓の下に居るその本人以外にあり得ない。 ダーニックは、古代中国の物らしい冠を、セレニケは、数千年前の種から発芽したという蓮の花を、フィオレは薄汚れてはいるが、かつては純白だったと思わしきスカーフを、カウレスは大蛇の物らしき皮を触媒に召喚の儀を行っていた。 「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」 ―――そして、役者は揃う。 女戦士と女騎士が戦斧と槍を交えて戦う。 戦斧が唸りを上げて首を狙えば、槍が轟き心臓を狙う。双方の武器が接触し、爆発する勢いで二英霊は離れた。 「やるわね。騎士」 「貴女もな、アマゾネス」 「でも、ここまでよ。これからは二対一で当たらせてもらうわ」 女戦士の背後からは、魔術協会の執行者としてその名を轟かせた女が現れる。 「令呪を破棄して降伏しなさい。数秒だけ待ちます」 数多の魔術師を葬ってきたバゼットの殺気に、フィオレは蒼白になりながらも睨み付ける。彼女を庇うかのように、かつて愛に生きた女騎士が立ち塞がる。 「まだ、死ぬわけには行かない。私の願いも、マスターの願いもまだ叶えていないのだから。ロジェロにもう一度会うまでは、マスターに立って歩いてもらうまでは、決して私は膝を折らない」 純白の騎士は、その槍の穂先をトロイア戦争のアマゾネスへ向けた。 その姿を見た“赤”のランサーは、気を引き締め、戦斧を女騎士へと向けた。 「……そう、貴女達にも願いがあるように、私にも願いがある。ここで終わって貰うわ」 拳と斧の総攻撃が、槍の騎士とマスターの少女に襲いかかった。 「私はもとより、聖杯が欲しいわけではありませんわ」 “赤”陣営の駆逐のための、同盟締結。ダーニックからの提案を、ルヴィアはすげなく断った。 「ミス・トオサカに勝利し、全力で観客を沸かせられればそれでいいの」 「……そうですか。同盟はしないと、しかし、一騎で戦えば、各個撃破の良い的では?」 ダーニックの質問も兼ねた言葉に、ルヴィアは曖昧な笑みを返し、会談場所となっていたテーブルを離れた。 そのまま夜の街へと歩みを進め、消える。 残されたダーニックに対し、胸元の通信礼装からノイエスフィールの声が響いた。 『どう思いますか?ヘル』 「やはりというべきか、あと一人のマスター……アサシンのマスターと手を組んでいるとみて間違いないでしょう。しかし、中々厄介な手駒を従えたものだ。 エミヤシロウという少年、魔術に関する情報はゼロ。よほど用心深い性格なのだろう。我等の調査にも、まるで魔術師らしさを見せない」 『アサシンですか……その詳細不明のマスターといい、セイバーと手を組まれたら厄介ですね』 「とりあえず牽制はした方がいいでしょう。丁度こちらの誘いに『彼等』も乗ってくれたようです」 その言葉に、礼装から聞こえる声に僅かに驚きが混じる。 『……情報をリークしたのですか?』 「エーデルフェルトの才媛と、アンノウン、小聖杯はアンノウンに興味津々らしい。せめてそれが従える化け物だけでも滅ぼしてくれないだろうか?」 冗談めかして笑うダーニックの目からは、しかし暖かみというものが完全に失せていた。 突然の襲撃は衛宮の屋敷にかけられる。 「こんばんは、いい夜だねお兄ちゃん。死ぬにはいい夜だよ」 「うちの子供達、早く人間を食べたいって聞かないの。だから、精々苦しんで食べられてね?」 銀髪の少女と、“赤”のライダーたる、蛇に似た目をした少女は絶望(バケモノ)を引き連れて笑った。 死者を決して逃がさない地獄の番犬(ケルベロス)。 クレタの牡牛を守る双頭狗(オルトロス)。 大英雄も怪物も殺した毒を持つ多頭毒蛇(ヒュドラー)。 あらゆる武器が効かない装甲獅子(ネメアライオン)。 眠ること無く黄金の林檎を守り続けた百頭竜(ラードーン)。 ……判ったのはここまで、百を超える異形どものたかだか数体を理解した程度で、絶望的な戦局は揺るがない。 周囲を囲む魔獣達は、徐々にその包囲を狭めていく。 「セイバー、シェロ、アサシン!気をつけて、この魔力量、現代の合成獣ではありませんわ!」 「じゃあ、宝具か何かか?でもこんな連中を呼び出せる英霊なんているのか!?」 アサシンの疑問に、ルヴィアは一瞬だけ考えた。 「まさか、これら全ての怪物に関係している者など……アインツベルン!『それ』の正体は!」 驚愕したルヴィアの視線は、にこやかに笑うライダーと呼ばれた少女に注がれていた。 「正気ですかアインツベルン!もしそれが暴走でもすれば、この街など数時間で食い荒らされて……」 「それが?」 「……なんですって?」 魔術師として、神秘漏洩の危険性を説くルヴィアに対し、イリヤスフィールは笑顔を崩さない。 「もうアインツベルンは神秘の隠匿だとかどうでもいいの。とにかく聖杯を手に入れられればいいんだよ?」 「……そこまで堕ちましたか」 ルヴィアの背後からは、聖騎士が穢れ無き剣を構える。士郎の前では忍軍の頭領が手裏剣を懐から出した。 「アサシン、貴公はマスター達の退避を」 その言葉に、アサシンは周囲に気を張ったまま答えた。 「あんた、死ぬ気か?」 「ご心配なく、この身は元々死者。たとえ滅べどもこの異形の諸々、一頭たりとも現世には残しません。ここで果てなさい幻想の獣達」 セイバーの言葉に、ライダーは嘲笑で返した。 「言うじゃない。でもこの子達をもう一度殺したければヘラクレスでも連れてくるべきだったわね。その貧相な剣一本でやり合うって言うの?不可能って言う言葉の意味知ってる?」 「あなたこそ、英雄という者を知らないようだ。そう言えばあなたの最期は巨人によるものだったな。英雄とは不可能を乗り越え、栄光を手にした者。不可能という言葉など、とうの昔に聞き飽きた」 そこで、聖剣を『魔物の母』へ向けた。 「英雄の刃、存分に受けよ!!」 「あんたこそケモノの牙で果てなさい!!」 閃光が周囲を包んだ。 間桐桜にとって、ここ数日の全てが不本意だった。 サーヴァントなど召喚したくなかった。バーサーカーは怖いし不気味だ。 アインツベルンの城になど来たくなかった。化け物が何百匹もいる城になど来たくなかった。 ―――聖杯戦争など参加したくなかった。死ねば、衛宮士郎や藤村大河と会えなくなる。 だから、間桐桜は一刻も早く祖父の命令で参加させられたこの戦争を終わらせることにした。 「……はあ、もういい加減に降伏してくれませんか?」 「……それは、できません」 桜の呆れを滲ませた言葉に対して、答えたのはサーヴァントの後ろで震えているマスターでは無い。 「バーサーカー!無理するな。お前もうボロボロじゃないか!」 マスターであるカウレスへ、“黒”のバーサーカーは安心させるように微笑むと、ふらつきながらも“赤”のバーサーカーに立ち塞がった。 その身体は幾つもの裂傷が走り、身体中から流血している。右手は動かなくなったらしく、片手で押さえている。美しかった髪の毛も乱れていた。 だが、何故か目を固く瞑る彼女は、カウレスの前を離れようとはせず、敵のサーヴァントに対峙し続けていた。 「■■■■■■■■■■……■■■■■■■■■■……」 絶世の名剣を持つ。かつてのシャルルマーニュ最強の騎士は、眼を狂気にぎらつかせ、時折唸っている。 「貴女ももう分かっている筈です。『勝てない』と。このバーサーカーは歴代聖杯戦争中最高のカードです。何せ魔力供給が殆ど必要無いんですから」 魔力炉の機能を持つ宝具、それが“赤”のバーサーカーを非常に燃費が良い存在としていた。 「私が命令すればすぐにでも―――」 「いいえ、これで終わりです」 瞬間、空気を震わせて澄んだ音が響き渡った。歌声の主は“黒”のバーサーカー、オペラ歌手のように荘厳な音色は、驚くことに口笛で発せられていた。 「―――?もう、いいです。バーサーカー」 桜の命令によって、バーサーカーは突撃した―――敵のいない明後日の方向へ。 「え」 呆然とする桜を余所に、バーサーカーは何も無い中空に向けて剣を振っている。シャドーボクシングに似たそれは、まるでそこに『誰かがいるよう』にいつまでもやめようとしない。その滑稽な姿に、桜は思いついた。 「まさか、幻覚……」 対魔力スキルの無いバーサーカー、おまけに理性が無いとくれば、このような搦め手も効くのかも知れない。 いや、現に効いている。 気がつくと、目の前に口笛を吹き続けている敵のバーサーカーがいた。 「―――あ、いや、だって」 膝が震える。鳥肌が立つ。ライオンの目の前に居る犬のような気分。 死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない―――!!! それだけしか考えられない無力な自分。手で顔を覆った。 ……いつまでたっても何も起きない。 『バーサーカー、何をしているのだね?』 聞き覚えの無い声に、桜は顔を上げた。虚空から聞こえてくるそれが何を促しているのかは考えなくても分かる。 『敵のバーサーカーは混乱している。今が絶好の機会だ。そこにいるバーサーカーのマスターを討ち取りたまえ』 その言葉に対し、“黒”のバーサーカーは、一言だけ呟いた。 「……できません」 『―――何?』 「私は罪を償うために聖杯を求めています。子供を殺めるなど、できません」 『……過去の救命を求めてこの戦争に参加したのだろう?ならば早く……』 「できません……私は既に死者であるサーヴァント以外を殺めることはできません」 そこで、一瞬だけ言葉は切られた。 「ましてや、子供を―――『もういい』」 虚空から響く言葉は、呆れに満ちていた。 『カウレス、令呪で攻撃させろ』 「えっ……」 その言葉に、眼鏡をかけた少年は虚空に目を向けた。 『そこのバーサーカーは難敵だ。令呪一画を使っても、惜しくは無い。早くしろ』 「え、ええ、それは……」 カウレスにとって、この聖杯戦争にかける望みは何も無かった。 姉のスペアとして育てられ、この戦争でもハズレクラスのバーサーカーを召喚させられた。 召喚したバーサーカーが美しい女性だったことには驚いたが、それだけだ。出会って数日も経っていないサーヴァント。何の気兼ねもいらないはずだった。 ―――その狂ってしまう程の悲嘆まみれの過去と、強く、それでも甘さを捨てきれない願いを知るまでは。 心の中から声がする。 今までもそうだったのだ。言うことを聞くだけなのに何を躊躇している? だが、別の声も聞こえてくる。 『彼女』に、そんなことをさせていいのか!? カウレスが躊躇している理由は、一族の長であるダーニックに命令されているからではない。 自分を守り、敵すらも救おうとする慈母のような優しさと強さを持った『彼女』に対する感情に気づいたからだ。 (……そうだよな) カウレスの答えは決まっていた。 英霊とは、神話や伝説の中でなした功績が信仰を生み、死後祀り上げられてなった人類の守護者である。 しかし、 “赤”陣営のキャスター―――魔術王ソロモンによって召喚されたアサシンは、間違いなく英霊では無い。悪をなして結果的に人々を救う反英霊であるかどうかも怪しいところだ。 真名は分かっている。攻撃を仕掛けるときに必ず口にするのだから。だが、そのサーヴァントは断じて英霊では無い。伝説(フォークロア)が伝える通りなら、まさに悪霊か怨霊だ。 「―――私、」 「!!『乾坤圏(チェンクンジェン)』」 瞬間、“黒”のアーチャーは自らの宝具を使った。 「大丈夫ですか、マスター!!」 「ええ、まあ、今のところは」 例え苦手でも、自分のマスターであるセレニケの無事に安堵し、暗殺を試みた影への警戒を怠らない。 「まずいわね……まるで諦める様子が無いわ」 流石にセレニケの声にも疲れが溜まっている事が分かった。無理も無い、あのアサシンのしつこさは、ここ二日で数十回以上攻撃されたことで証明されている。退却すらも終わりでは無い。 『混天綾(ホンティエンリン)』の超感覚によってこちらには傷一つ無く攻撃を回避することができたが、いずれまた再攻撃を仕掛けてくるだろう。 事実、遠方の道路からこちらを挑発するように笑いながら、ふらふらと下手なダンスを踊る姿があった。 ボロボロのワンピースと煤けた麦わら帽子を被ったその姿は、使い古して捨てられた人形を連想させた。 「ふふっふふっ、遊びましょう?呪われたテレビゲームがあるわ。綺麗で悲しい童謡を歌いましょう?それとも鬼のいないかくれんぼでもする?占いは好き?天使様でも呼ぼうかしら?でも、なんといっても人形遊びよねえ」 “赤”のアサシンは訳の分からない話をしながら、きゃははははと、無邪気に嗤う。その手に持った出刃包丁がギラリと光った。その姿に、生前戦った者達とのいずれとも違う不気味さを感じる。 アーチャーはたまらずに叫んだ。 「お前も聖杯に招かれた武人ならば、正々堂々と勝負しろ!!」 勿論、期待などしていない。だが、会話に持ち込むことで何かを引き出せないかという狙いはあった。 「まあ、あなたは人形遊びがしたいのね。分かったわ」 そう言うと、アサシンは出刃包丁を手放して、肩からかけている鞄から何かを取り出した。 案の定、支離滅裂な行動に出たアサシンに、僅かながら安堵したアーチャーだったが、アサシンが鞄から取り出したモノを見た瞬間、驚愕に目を見開いた。 「たのしい、たのしい人形遊びよ。みんなで手足が千切れるまで遊びましょう?」 そう言うと、悪霊は手も足も無い血のような色で汚れている人形を持って、哄笑した。いや、狂笑と言うべきか。 アーチャーは絶句している。セレニケは興味深そうに注視している。理解したのだ。あの傍目には廃棄物にしか見えないような残骸が、“赤”のアサシンの宝具だということを。 そして、伝説に語られる通りならば、その機能は―――!! 「ふふふん、ふふふん、可愛い可愛い、私の人形、今にお手々とあんよを持ってきてあげるわね」 軽快で、どこか妙なリズムの音楽。 それを聞いた時、“赤”のアーチャーと、そのマスターはすぐに警戒の反応を返した。 ここは敵地、“黒”の陣営が一騎、キャスターの隠れ家にして、神殿。警戒してもし過ぎることは無い。 ―――だから、『そいつ』の出現は、完全に二人の虚を突いた形となった。 「マジカル、ヘリオス、ペルセイス!アイアイエーよりやって来た。愛と月の女神!恋に生きる素敵乙女、スーパー魔女っ娘キルケーちゃん見参なのだぁ~!!ぶいっ」 「「は……?」」 なんだ、そのフリフリヒラヒラしたレースが山程くっついてる衣装は。 なんだ、その手に持っているステッキは。 なんだ、なんでボン、キュッ、ボンのダイナマイトボディの美女がジャパニーズ・コスプレしてんだ。 口から舌を出して、片手でVサインをしたまま、バチコーン。とあからさまにウィンクした。 やめろ。何かいろいろと台無しだ。 「なあ、おい、ルイス。俺たちゃ殺し合いに来て、情報通りならここにいるのは敵のサーヴァントだよな」 「……聞くな。俺も確証が持てなくなった」 自分が狂気に完全に侵された可能性もある、という可能性もあったが、アーチャーが同じモノを見ているのならそれは薄いだろうと結論づけた。とりあえず狂気じみた物体に話しかける。 「お前は“黒”のキャスター、真名はキルケーでいいのか?」 「おおっと、この身は大きなお友達の愛と欲望で編まれた魔法少女英霊!敵に語る名など持っておらんわー!」 さっき、語ってたじゃねえかよ。という疑問は当然の如く無視された。と、いうよりそっちの方が楽だ。 まあ、いい。敵とか言うのなら、さっさと殺し合いに移ろう。アーチャーと視線で会話し、銃を抜く。 瞬間、ルーンで構成された炎がルイス達に襲いかかった。人間のルイスには勿論、対魔力が極端に低いアーチャーにとっても危険だ。バックステップで後方へ逃れ、キャスターに銃口を向ける。 ―――あのふざけた恰好は油断させるための罠か!? 「おお、バックファイアー!!時代は萌えならぬ、燃えを求めているのねー!!」 ―――それはないか。 もう全てが面倒くさくなって発砲するが、銃弾は全て空中に浮かんだ魔法陣の形状をした光に当たって砕けた。 あれだけの魔術を無詠唱で展開できるとは、ただの馬鹿じゃ無いということか。 「キャスター、真名を軽々しく話すなと言っていただろう」 溜息をついて現れたのは、長槍を持った女だ。その肢体を包む物を見て、ルイスは古い戦争映画を思い出した。 「……ナチス」 その軍服、その軍帽、そして腕章にはハーケンクロイツ。 「それは、劣等共の蔑称。ドイツ第三帝国軍と呼んで貰おう」 銀の髪と紅い眼をした女は、誇らしげに槍を振った。槍は火に包まれ、燃え上がる。事前に収集した情報によれば、ヒルデガルト・フォン・ノイエスフィールというマスターだ。 「キャスター、君はアーチャーの排除を。今まで改造した全使い魔の投入を許可する」 まかせなさい!でも、ヒルデちゃんはどうするわけ?」 「この死に損ないに引導を渡してやる」 槍を突きつけたヒルデガルトに対し、ルイスは、銃を構えたまま言葉を紡ぐ。彼にしては珍しく、饒舌に。 「やってみな、大概の映画じゃナチスは悪役で、ラストで負けるんだぜ」 「ほざくな。流刑者の子孫!!」 ヒルデガルトが床を蹴り、ルイスが発砲した。 炎と銃弾が飛び交う中で、“黒”のキャスターと“赤”のアーチャーは対峙していた。 正確には、アーチャーが対峙していたのは、キャスターの背後の空間から現れた生き物たちだったが。 「魔法少女にはマスコットがつきものでしょ!」 「えらく不細工なマスコットだけどな」 巨大な複眼を持つ蠅の頭をしたライオン。 鎌を六本持つ二メートル近い蟷螂。 二つの頭を持った大蝙蝠。 二足歩行する豚がいる。巨大なヒキガエルがいる。絵本でしか見たことが無い竜らしきモノまでいた。 「ひっど~い、魔法少女が泣いちゃうゾ?」 「いや、だって―――」 あんた、魔法『少女』とかいう年じゃねえだろ。 キャスターが硬直する。 アーチャーにとっては、単なる指摘だったが、キャスターにとってはそうでもなかったらしい。その証拠に、キャスターは肩を震わせ、顔は無表情で固まっている。その手にはいつのまにか先程のステッキでは無く、身長程もある杖が握られていた。 「ムカデ、ゴキブリ、サナダムシ、どれがいい?」 「はあ?」 銃をホルスターに収め、早撃ちの準備態勢をとっていたアーチャーは、紡がれた言葉が呪文では無くただの言葉であったことに、疑問の声を上げる。 「あんたが『なる』生き物、他にも毛虫とか糞虫とか、なんならミジンコとかでもいいわ。選びなさい」 先程まで無表情だったキャスターは、壮絶な笑みを浮かべながら自身の背後で魔力弾を形成する。創造された幻想種の群れも、アーチャーへ飛びかかる体勢をとった。 「楽に殺してなんかやらない。あんたは苦痛と恥辱と諦観を味わいながら、別の生き物になるの」 そこで、キャスターは再びにっこり笑って、ポーズをとった。 「乙女の純情を踏みにじる奴は地獄行き、魔法少女は許さな~い!!」 周囲は改造生物、正面は魔弾。絶望的な状況下で、アーチャーは子供のように笑った。 「やっと、面白くなってきやがった」 ―――それは、聖杯の泥が呼び寄せたモノ。 「ううっ……やめて、来ないでよお……」 ファナ・ロレンテ・イグレシアスは、スペインの街角で何かから逃げるように必死で這い回っていた。 見れば、彼女の周囲には野良犬一匹いない。ならば、彼女は何から逃れようとしているのか。 「やめてよっ、『入ってこないで』よ!」 侵略者(インベーダー)は、既に彼女の中にいた。 一瞬、幻視したそれは―――美しかった。 神聖で、正しくて、間違っていない。 真っ直ぐで、当然で、素晴らしい。 それなのに、ファナはどうしてもそれを肯定できなかった。例えるならば、荘厳な宗教画の裏に、何か良くないモノが隠されているような、安心できない感覚。 ―――悪魔は常に、美しい姿で人間を誘惑するものだ。 知り合いの司祭が言っていた言葉を思い出した。 『憑依による人格の一時封印及び英霊の霊格挿入開始』 「やだっ!」 彼女は、赤茶色の髪を掻き毟り、必死で自分の中に入ってきた何かがしようとしていることを否定する。 『元人格の同意獲得失敗、霊格挿入続行。元人格の破壊準備開始』 「うぐっ、痛ぁ……っ」 頭蓋を切り開き、内蔵物を切り分けるような感覚に、必死で『ある行為』に全力を注ぐ。 『霊格挿入完了。体格と霊格の適合作業開始、元人格の破壊準備完了』 『クラス別能力付与開始』 『全英霊の情報及び現年代までの必要情報挿入開始』 『クラス別能力付与終了。スキル……奇跡(偽)、カリスマ(偽)、神託(偽)、黄金律(偽)』 「な……何コレ……」 『必要情報挿入完了』 『元人格の破壊開始』 「わあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 最早自分という存在全てがプレスマシンで潰されて粉々になっていくような感覚に、彼女は必死で抗った。 だが、機械的に行われるそれは、ファナの抵抗を紙屑のように引き裂き、彼女を蹂躙していく。 そのまま、肉体は意識を手放し、彼女は仰向けに倒れた。 『適合作業終了』 『全工程完了』 『サーヴァントクラス、ルーラー。現界完了』 冬木で行われる聖杯大戦に、マスターを持たざるサーヴァントとして現界するクラス、ルーラー。 生け贄の羊として選ばれたのは、聖堂教会に所属するシスターだった。 彼女の中に入ってきたモノは、英雄だった。王だった。救世主だった。 人々を救い、導き、慰撫し、『印』を持たない人々は笑顔で見捨てる。真実とは対極の、永遠に救われないモノ。 ―――最大最凶の反英雄。 赤茶色の髪を持つシスターが立ち上がった。 自身が信じる神と、永遠に敵対し続けるモノに入り込まれた彼女は―――。 「いたたた、なんだったのよ。もう」 ファナ・ロレンテ・イグレシアスのままだった。 彼女が修得している秘蹟に清浄を司り、呪いの浄化を行うものがあった。 元々無理な召喚であり、現世との繋がりが弱かったことが幸いしたのか、必死に行ったそれは成功し、精神の汚染は殆どされなかった。人格の破壊はされずに、ファナの人格がそのまま残るほどに。 「早く帰らないと……えっ、冬木?聖杯戦争?」 教会へ戻ろうとした彼女の記憶に、知るはずの無い情報が書き込まれている。 それは、基となった英霊の置き土産だった。勿論それだけでは無い。 「……私のクラスはルーラー……ルーラーって何?……えーと、私の宝具は『天より下されし判決の炎(ソドム・ゴモラ)』と、『獣の数字の刻印(ゲマトリア)』……って、なんでこんなんが使えるのおっ!? ……筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運E 宝具A++……ちょっと、なんで幸運のパラメーターがこんなに低いわけ!?……冬木への飛行機はまだ出るわね……うわーっ!私行く気になってるーっ!!助けて神様ーっ!!」 元来の性格、サーヴァント・ルーラーとしての義務意識、修道女としての責務。それらに後押しされた彼女は、いつも通り愚痴をこぼしつつも、極東の地、冬木に向かうのだろう。 だが、彼女は気づいていない。人間よりも上位の存在を、その中でも最も悪意に塗れた存在を退けたその功績。 ―――それが、紛れもなく『英雄』と呼ばれる者達の功績だということに気づいていない。 かくして、ここにサーヴァントの力を持ちつつも、サーヴァントでは無い常識を外れた存在が出現した。 世界最小で、世界最大の『大戦』は、様々な思惑が交差する。 「俺はさ、正義の味方になりたいんだ」 「衛宮の大将、俺はもとより化け物崩れの悪党だ。存分に手足として使っていい」 正義の理想に囚われた者と、悪に堕落したが故に断罪され、新しい栄光を望む者がいる。 「俺は、この戦争で、人類の敵を全て駆逐する」 「喧嘩ができて酒が飲めりゃそれでいいぜ?俺はよ」 復讐に囚われた者と、喧噪と熱気と闘争と勝利を望む者がいる。 「やはり、貴女と決着を付けなければなりませんわね」 「友よ!君は何故……」 誇りを胸に抱く黄金の魔女と、友への贖罪を望む者がいる。 「ええ、こっちにも負けられない理由があるのよ」 「まとめてかかって来な!ぶっ飛ばしてやる!」 残された家族の幸福を望む者と、茨の道を歩もうとする者を放っておけない者がいる。 「俺にとっては、百年先の根源より、今の姉さんだ」 「ええ、それが人間として選ぶ道でしょう」 諦観に囚われていた者と、甘さを捨てきれず、それでも戦うことを選んだ者がいる。 「私は、ランサーの願いも一緒に叶えたいです」 「私は絶対にロジェロと出会う!」 小さく、それ故に強い願いを抱く者と、愛する者ともう一度会おうとする者がいる。 「聖杯を持ち帰ることが私の任務です」 「私は絶対に妹と出会う!」 権力者に道具として扱われる者と、愛する者を生き返らせようとする者がいる。 「シロウ、遊ぼー!」 「来てえ……、私が食べてあげる」 無邪気さと残酷さを併せ持つ者と、大前提を覆そうとする者がいる。 「どうして、あなたの肌はナイフで切れないのかしら」 「敵のサーヴァントはともかく、マスターの方が油断できないって……」 執着と我欲に囚われた者と、英雄の誇りを胸に戦う者がいる。 「私は先輩と先生とご飯を食べられればいいのに、何でそれすらも思い通りにならないのよおおおおおお!!!」 「■■■……■リ■■……■■■……」 ささやかな幸せを望み、それが手に入らない事に絶望する者と、友への贖罪を望む者がいる。 「全ては勝利のために、千年帝国のために」 「衣装を沢山作ったけど、着るような見せ場あるかなあ?」 与えられ、複製された誇りを胸に戦う者と、戦いよりも、聖杯よりも自分の趣味を優先させる者がいる。 「この世界の神秘と奇跡を、千界樹(ユグドミレニア)と、千年帝国(グラズヘイム)が手に入れるのだ」 「俺はもう皇帝じゃ無え、だがな、無惨に死のうとしている民草を放って置けるわけも無え」 『力』を求める者と、自分の気の向くままに、風のように戦場を駆ける者がいる。 「成る!成るぞ!マキリの悲願が今こそ成るぞぉぉぉぉ!!」 「遊びましょ!遊びましょ!バラバラにして遊びましょ!キャハハハハハハハハハハハハ!!」 「これが、聖杯、なのかよ」 奇跡を望む者と、在り方のままに多くの血を流す者と、その叡智ゆえに真実に辿り着いた者がいる。 「サーヴァント、ルーラーの権限を用い、この大戦を終わらせます」 力を持ったが故に、全てを終わらせることを選んだ者がいる。 「御三家、ユグドミレニア、亡霊、狂人、裁定者」 そこで、神父は酒をあおった。 「そして、正義の味方か」 神父は地下の片隅に存在する『誰か』に目を向けた。 「お前にも、出てもらうことになるだろうな」 死臭漂う密室で、前回の戦争より『何か』を追い求め続ける死者は、口を裂いたように嗤った。 ここに、役者は揃い、後にも先にも無い歌劇が幕を開ける。 “黒”のセイバー 真名はシャルルマーニュの騎士、オリヴィエ。マスターはルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。 性格は生真面目かつ、公正な騎士らしい騎士をイメージしました。触媒は最期に自分の命を奪った槍の穂先。 ロンスヴォーの戦いで不利を悟ったローランが角笛を吹こうとするのをやめさせたことで、多くのパラディンが死んでしまったのではと考えている彼の願いは、ローランに謝罪すること。 “黒”のランサー 真名は純白の騎士、ブラダマンテ。マスターはフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。 性格は普段は冷静で、しかし恋人のことになると猪突猛進する恋する乙女。触媒は生前身につけていたスカーフ。 ロジェロを生き返らせ、二人で現世で生きていくことが願い。 恋しか頭に無いように見えて、騎士として、マスターであるフィオレの願いも叶えたいと思っている。 そういうイメージです。 “黒”のアーチャー 真名は蓮の花の化身、ナタ。マスターはセレニケ・アイスコル・ユグドミレニア。 仙人達の教育によって普段は礼儀正しく、しかしやはり熱くなるイメージです。 触媒は、数千年前の種から咲いた蓮の花。 願いは特になく、英雄として無辜の民の被害を少しでも減らそうとしている。 苦手な人物はマスターであるセレニケと、“赤”のアサシン。 “黒”のライダー 真名は軒轅、もっとも知られているのが黄帝。マスターはダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。 発明家で武にも通じ、人望がある。おまけに人間以外にも好かれる。触媒は天に昇ったときに残していた冠です。 天衣無縫で、気ままに生きる人物をイメージしました。 帝位は孫に譲り渡したので、特に自分が皇帝だというこだわりは持っておらず、それでも“黒”の英霊四騎を上手くまとめている姿はカリスマのたまもの。 本人曰く、生きていた頃には働きすぎたので、現世ではレジャーを楽しむために、それから無辜の民を守るために現界しました。 “黒”のアサシン 真名は風魔小太郎。マスターは衛宮士郎。生前、切嗣が用意していた予備の触媒で召喚されました。 アサシン単騎としての能力も高い上、本来は三百人近い自らの兵力を駆使して戦略的に動き回ることを得意とする集団戦の長。切嗣に召喚されたら最悪に相性がいい筈。 しかし、今大戦では士郎に召喚されたため、宝具はもっぱら街中のパトロールに使用されています。聖杯への願いは、盗賊として処刑された過去を恥じているため、聖杯の力で受肉し、もう一度風魔小太郎の伝説を打ち立てること。 そのためにマスターは必要なのと、仕事はこなす主義から、士郎との関係はまあまあいいものの、自分を人間扱いする士郎に戸惑うこともままあります。 皆鯖アサシンの中では、最強なんじゃなかろうか。 “黒”のバーサーカー 真名はラミア。マスターはカウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。 リビアの神殿で保管されていた大蛇の皮で召喚されました。薄幸系若奥様、おまけにお姫様。 理性があるバーサーカーとして、通常の狂戦士と違って多少は扱いやすい。 ただ、それは宝具を使用しなければの話であり、もし使えば令呪以外で再び元の状態に戻すことはできない。かなりリスキーな宝具。 カウレスとは上手くやっていて、彼が向ける感情に対しても知っていますが、答えられないと思っています。 その理由は、死者で、怪物である自分が若いカウレスの歩む道を迷わせてはいけないと思っているため。 救済ルートがあるかどうかは、マスターの采配次第。 “黒”のキャスター 真名はキルケー。マスターはヒルデガルト・フォン・ノイエスフィール チルチェーオ岬の洞窟にあった釜の一部で召喚されました。 弟子のキャス子さんが可愛い服を作るのが趣味に対して、彼女はその服を着ることが趣味となっています。 おまけに、現界してマジカルなアニメを見たことで、自らを魔法少女(?)と名乗るようになり、それに関する問題を誰かに指摘されると魔力の限り暴れまくる。ライバルはかわいい女の子。好みのタイプは筋肉マッチョ。 大抵の人間は玩具にする悪癖があるが、気に入った人間に対しては協力することもあります。 聖杯にかける願いは、自分が主役の劇場版大長編を作製すること。だが、この願い自体が嘘である可能性もある、煮ても焼いても食えないサーヴァント。 ……本気で、こういうキャライメージにしても良いものか悩みました。 “赤の”セイバー 真名は鈴鹿御前、マスターは遠坂凛。 滋賀県の旧家に保管されていた着物の切れ端で召喚されました。 頭より体が先に行動し、坂上田村麻呂には勢いで求婚したブッチギリの肉食系女子。 元々が鬼で盗賊だったので、大して道徳意識はありませんが、それでも困っている誰かを放っておけない程度には情けがあります。 鬼としての優れた身体能力に加え、神通力まで使うオールラウンダーなサーヴァント。『英雄』と『怪物』両方の面を持っている希有な存在。 あまり深く考えずに喧嘩がしたいことが最初の願いだったが、凛と桜の複雑な事情を知り、何とかしてやれないかとも思っています。 “赤の”ランサー 真名はペンテシレイア、マスターはバゼット・フラガ・マクレミッツ。 トロイの考古遺跡で発掘されたノコギリソウの化石で召喚されました。 相手の連携を崩し、しかし自分は連携攻撃ができるという集団殺しのサーヴァント。小太郎の天敵。 昔、誤殺してしまった妹の蘇生を願い、戦争に参加しました。 性格は基本的には明るいが、戦いになれば容赦はしない生粋のアマゾネス。 バゼットとは同じ戦士同士として相性がいいと思います。 “赤”のアーチャー 真名はウィリアム=H=ボニー、マスターはルイス・ローウェル。 本人の墓石の欠片を触媒にして召喚されました。 喧嘩は好きだが、勝つのはもっと楽しい。勝つためなら姑息な手でも平気で使うアウトロー。 逃げることも得意で、使い勝手の良い宝具は魔力消費も少ない。決して最強では無いが、最強とでも渡り合えるサーヴァント。 “赤”のライダー 真名はエキドナ、マスターはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。 スキタイ地方にある、ヘラクレスが立ち寄った洞窟由来の品で、ヘラクレスを呼ぶはずが、生前にその洞窟を住処にしていたエキドナが呼ばれました。 外見は少女で、その実は妖女。妖艶で享楽主義的な性格です。 単騎の性能もさることながら、彼女が生み出す怪物達はヘラクレスでも手こずる程の獣であり、それらが群れをなして襲いかかれば並の英霊では歯が立たない。 その霊格の高さの関係上、現界にも宝具の使用にも大量の魔力を使うものの、マスターがイリヤであるためにこの問題はクリアされています。 順当に勝つにはマスターを狙うしか無く、しかしアインツベルンの城を拠点にして大量の怪物達が守っているため、これも難しい。隙の無いサーヴァント。 聖杯に駆ける願いは一応自分と子供達の受肉ですが、それ以上に生前の運命から、『英雄』が『怪物』を打ち倒すという法則を覆し、『怪物』の手で『英雄』を引き裂き喰らいたいという願望があります。 “赤”のアサシン 真名はメリー。マスターは“赤”のキャスター、魔術王ソロモン。 サーヴァントがサーヴァントを召喚したため、英霊では無く、怨霊に近い性質のモノが呼ばれました。 外見は捨てられた人形を彷彿とさせるボロ切れのようなワンピースと帽子を身につけ、錆び付いた出刃包丁を持って、ぎらついた目をしながら嗤う。不気味そのものの姿。個人的には精神汚染を付加しても良かったかなと思います。 怨霊としての面が強く出て召喚されたため願いは無く、ただ血を流すことだけを望んでいる。サイコ・ゴースト。 しかも、普通に倒しても呪いを置いていくという鬼畜仕様です。 “赤”のバーサーカー 真名はローラン。マスターは間桐桜。フランスの寺院で保管されていた本人のマントで召喚されました。 バーサーカーらしいバーサーカーであり、しかも魔力炉心付きの宝具を持っているため、燃費は良い仕様。 外見は投稿されたイラストの通りです。 ロンスヴォーの戦いで面子を優先させた結果、多くの騎士達を死なせてしまったと悔やみ続けている彼の願いは、オリヴィエに謝罪すること。 “赤”のキャスター 真名はソロモン。マスターは間桐臓硯。生前に執筆した魔道書の一部で召喚されました。 皆鯖最強クラスのキャスター、魔神を繰り出せば、三騎士とでも渡り合えるはず。 外見は投稿されたイラストの通りです。“赤”の陣営のまとめ役。 神に権能を与えられ、その結果国を富ませた彼ですが、国を運営している途中で、自分の全ては、所詮神から与えられたかりそめの力では無いかと疑い、それが結果として偶像崇拝と財政破綻に繋がりました。 聖杯に駆ける願いは無く、自分自身の力がどこまで多くの英雄に通じるのか確かめることを目的としています。 ルーラー 真名はアンチキリスト。身体は、ファナ・ロレンテ・イグレシアス。 聖杯やキリスト教、統治者繋がりでいいサーヴァントは無いかなと探した結果、アンチキリストに決まりました。 第二次皆聖でのシスターを身体に選んだのは、キリスト教繋がりで。 聖杯の泥の影響でルーラーも悪性の英霊が呼ばれましたが、ファナに憑依するときに自分自身で精神を洗浄したために、ファナの人格はそのまま残り、サーヴァントとしての能力がそのまま残りました。 元々の健気な性格と、サーヴァント・ルーラーとしての役割に引きずられる形で冬木入り。様々な怪異と遭遇する彼女の明日はどっちだ。 ????? クラス、真名は不明。マスターは言峰綺礼。 言うまでも無く、前回受肉した第四次聖杯戦争のサーヴァントです。 嘘予告なので、皆さんがお好きな名前をどうぞ。
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【元ネタ】インド神話 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】インドラ 【性別】男性 【身長・体重】228cm・176kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷A 魔力EX 幸運D 宝具A++ 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 聖仙の呪いやヴリトラ殺しの罪を背負うインドラは純然たる神霊としては低いランクとなっている。 【固有スキル】 雷神の神核:EX 雷霆神であることを表すスキル。神性を含む複合スキル。 雷神系の逸話を有する英霊との戦闘に極めて有利な補正を得る。 騎乗:A 騎乗の才能。幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。 神話では象王アイラーヴァタや馬王ウッチャイヒシュラヴァスに騎乗しているインドラは本来ならばA+となるが、ランサーでの召喚のため低下している。 召雷:A+ 空の見えるフィールドでのみ使用可能。 雷雲を起こし、雷を落とす。 ヴァジュラを帯雷させるために使用する他、直接敵の軍団を攻撃することも可能。 本来は権能だが、サーヴァントとして召喚されたことでスキルとして劣化している。 障碍を砕く者:EX ヴリトラハン。旱魃を引き起こす巨大な蛇竜ヴリトラを滅ぼした逸話がスキルとなったもの。 木、岩、武器、乾いた物、湿った物、ヴァジュラ、昼、夜のいずれにも傷つかないとされたヴリトラを殺したことから、 特定の条件を満たさねば突破出来ない敵の防御能力を無視してダメージを与える。 【宝具】 『雷霆よ、神威を示せ(ヴァジュラ)』 ランク:A+ 種別:対人/対軍宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:1人/220人 聖仙骨より造られた雷霆神インドラの最終兵器。 叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公ラーマがラークシャサの軍や鬼神クンバカルナを滅ぼした矢もこれと同根であり、一軍を容易く撃滅する。 『雷霆よ、忿怒を以って神威を示せ(ヴァジュラパーニ)』 ランク:A++(条件付きでEX) 種別:対城/対国宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:1000人 帯雷状態で使用可能。ヴァジュラの真の姿。 真名解放すれば空間のマナごと敵拠点を焼き尽くし、その土地の霊脈をズタズタに引き裂く。 インドラの雷とも呼ばれ、核兵器に例えられるこの宝具は強力無比であるが、 全力で解放すればヴァジュラはインドラの魔力に耐え切れず暴走し、国一つ滅ぼしかねないほどの雷が敵味方の区別無く襲いかかりヴァジュラも失われる。 【解説】 インド神話における雷霆神。蛇竜ヴリトラを倒し恵みの水を齎す英雄神でもある。 仏教では帝釈天として日本などでも信仰されているが、その一方でイランの拝火教では魔王の一人として恐れられている。 ヒンドゥー教の前身となるバラモン教の時代では最も信仰を集めた神々の王として君臨し、後に最高神の一柱となるヴィシュヌを友とした。 だが時代は下りヒンドゥー教の時代になるとブラフマー、シヴァ、そして友であったヴィシュヌの三柱に最高神の座を譲り、自身は東方の守護神へと降格。 そして女性関係の縺れで聖仙から呪いを受ける、新たに台頭してきた軍神スカンダに敗れ天界軍最高指揮官の地位を譲り渡す、 更には羅刹王ラーヴァナの息子メーガナーダや阿修羅王マハーバリ、マヒシャースラなどヴリトラ以上の強敵達に敗れ天界を追放されるなど様々な憂き目に遭う。(後に他の神の活躍で復権) しかし、それでも他の神に取り込まれることなく一定の信仰を集め続けるインドラは今なお重要な神と言えるだろう。
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【元ネタ】旧約聖書 【CLASS】セイバー 【マスター】 【真名】ヤコブ 【性別】男性 【身長・体重】197cm・122kg 【属性】秩序・善 【ステータス】筋力B+ 耐久B 敏捷A+ 魔力C 幸運A 宝具A++ 【クラス別スキル】 対魔力:A A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【固有スキル】 ヤコブの手足:EX セイバーが創始した古き格闘法。極まれば大天使にさえ勝利する。 伝説によれば、四大天使の一角であるウリエル(一万二千の天使を率いる『破壊の天使』とも)を撲殺している。 迷いなき剣閃にも似た速度と鋭さ、破壊力を誇るセイバーの手刀足刀は セイバー自身と同一視されるウリエルが有する焔の聖剣にも等しい神秘として扱われる。 このスキルの存在が刀剣類を持たないセイバーが剣士の位階で召喚される一因を担っている。 踵を掴む者:A セイバーが生誕した際に兄エサウの踵を掴んで産まれた事で彼を差し置いて長子の祝福を得たという逸話の具現。 セイバーの周辺で同ランク以下の自身もしくは自軍を強化する効果が発動した際に発動者が敵味方問わずにその恩恵は優先的にセイバーに齎される。 ただし過去に交わされた契約や呪い、既に完了した魔術、性別や神性・魔性など肉体の性質に紐づいた恩恵などは対象外。 ジェイコブス・ラダー:A 兄から逃亡する際に夢を通して見た神からの啓示。 イスラエルの民の始祖であるセイバーはユダヤ系に由来するサーヴァントに対して有利な補正を持ち、高確率でそれらのサーヴァントの真名を看破する。 また、啓示との複合スキル。 【宝具】 『栄冠を掴む階梯(イシャラーエル)』 ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 立ちはだかる大天使を撲殺せしめたセイバーの振るう徒手空拳による連撃。 真名解放後、強力なアッパーカットで敵を逃げ場のない空中へと搗ち上げ、すかさず怒濤の拳撃を叩き込む。 その後、敵を地面に向けて蹴落とすと、最後は地を突き破る勢いで自らも急降下し、落下の全衝撃を対象に叩きつける。 セイバーの神気溢れる四肢より繰り出される回避不能の連続攻撃は罪人を苛む地獄の業火となって対象を爆砕する。 【解説】 旧約聖書の創世記に登場するヘブライ人の族長。古代イスラエル王の祖先とも。 ヤコブの名は「踵を掴む者」、翻って「人を出し抜く者」という意味を持つ。 太祖アブラハムの子である父イサクとカルデア人の母リベカのもとに双子として生を享ける。 ヤコブは双子の兄エサウを出し抜き、長子の祝福を得たため、兄から命を狙われることになり逃亡した。 その逃亡の途上、夢で神からの啓示を得、後世に『ヤコブの梯子』と伝わる天国への階段を目にする。 この啓示によってヤコブは自分の子孫が後に偉大な民族になると神に約束された。 その後は兄との和解を志し、会いにいく途中に川の辺で天使と格闘し、これに勝利したことから 神の勝者を意味する「イスラエル」の別名を与えられ、これが後のイスラエルの国名の由来となった。 それ故にヤコブはイスラエルの民……即ち、ユダヤ人全体の祖先であるともされている。 ヤコブと格闘した天使が誰だったかについては諸説あり、一万二千の天使を率いるとされる『破壊の天使』カマエルとも 焔の剣を持ってエデンの園の門を守る智天使ウリエルであるとも言われている。 特にウリエルはユダヤの伝承において天使から人間になった初めての者であり、 地上で人間達の中で暮らす際にはヤコブの名で呼ばれるため、同一視されるなど特に関わりが深い。